通りすがりの人形展

渋谷で乗り換えついでに東急東横店に寄ったら、創作人形の展示(即売)会をやってるというので、覗いてみた。
最終日だったので、半分ほどの展示場所には売れたことを示す赤札のみが残されていた。
しかしうーむ、トップクラスで名が売れてる人でなくても(いや私が知らなかっただけで、業界では結構有名なのかも知れないが)だいたい一体十数万円からするらしい。
原価でそのぐらいかかっちゃうのだろうか。お召し物の凝り具合からすれば、そういうこともあり得るかもしれないが。
展示即売のためか、以前見た「イノセンス」タイアップ企画の球体関節人形展ほど濃密な演出のものはないようだった。それでもぽんと十数万支払う客層がちゃんといるわけで、それはそれで濃密な関係なのだろう。
そういや見ていたら、背後から「お人形の方が自分の行く先を選んでいる。駄目なところにはいくらお金あっても行かないんだ」と出品者か開催関係者らしいおばさまがたがまじめに語っておられるのが聞こえてきた。私も人形達の瞳の光や何か言いたげな口元など見ていると、「まあそういうこともあろうね」と思う人間ではあるが、それはまだ世間一般に受入られる意見じゃないだろうなあ。
着飾って行き先の決まるのを待っているお人形は、花魁や飾り窓の女達のようでもある。そういう女達をイメージして描かれた「Five Star Stories」のファティマの「お披露目」や、「観用少女―プランツ・ドール」の世界は、既にある意味現実のものとなっているような。