上野の森美術館にて『井上雄彦「最後のマンガ展」』を見る

参考:FLOWER(もう一つの公式サイト、らしい)

 平日夜の部は当日券では入れないとか、週末祝祭日のチケットは時間帯指定だとか複雑な入場形態になってるいるもので、色々調べてみたのだが、週末の前売りはとっくに売り切れていたらしいのだった。そういうわけで、まだ入手可能な平日夜のチケットを買って行ってみたのだった。
 会場外壁に巨大な三白眼武蔵。通る人々がこぞって写真を撮っていく。ちょっと無視できない迫力である。これは、と思っていたのだが、入ってみると、中の展示は全部肉筆画なのだった。最初の一枚のみ、1号か2号サイズの幼児の絵だったが、他は概してでかい。普通のマンガ原稿に近いサイズの(といっても多分漫画原稿サイズのものはない。一回りはでかい感じ)から、大きい方では天井まで届く墨絵まで。更に、余白と見えた白い壁の一部に、ぽつ、と蝶々や蟻が書かれていたりする。小さな命の存在を示すものであろうか。
 更に後の方に行くと、絵の部分以外は黒い壁で真っ暗にして見せるところとか、絵の中の武蔵(ちなみに少年〜幼児の姿まで戻っている)が取り落とした木刀が斜めに床から生えているとか、砂浜をどこまでも歩いていく武蔵と小次郎(どっちも少年)の絵の手前には細かい砂が敷き詰められているとか、3Dの演出も凝っている。で、こういう仕掛けを施しながら見せているのは、武蔵の死の物語。
 全部白黒なんですがなあ。生々しかったり愛らしかったりお茶目だったりするのですよ。武蔵の他、いろんなヒトが。
 や、ヒトだけでもないか。誘導してるスタッフの方々が黒いTシャツ着てるんですけどね、見ると白い線で老人の顔のついた人魂状のものが描かれてて、「スタッフじゃよ」「そうじゃよ」とか書き字があるの。なんじゃそのシロモノは、と思ってたら、途中に出てきましたな。肉体を捨てて、楽しげに武蔵を呼ぶ老人達。
 一回りして、なんだかへろへろになって出口の売店のとこへ来たのだった。と、そこで売られている図録「いのうえの-三日月編-」は、図録と言っても準備風景のドキュメンタリーを掲載したもので(それはそれで面白いのだが)、今回の展示品を網羅した「いのうえの-満月編-」はまた後日出るんで予約受付中、とのこと。また、現段階では限定販売だけども、ISBNコード振ってあるし、何ヶ月か後には書店でも販売する、とのこと。
 と、いうわけで。とりあえず買わないで帰ってきたのでした。
 だってカード使えないって言うし。もう限定の特別装丁本は売れちゃったって言うし。
 普通に買えるようになったら買おう。両方か、満月編だけかは決めてないのだが。

 とりあえず、これは買ってみよかしら。

BRUTUS (ブルータス) 2008年 7/1号 [雑誌]

BRUTUS (ブルータス) 2008年 7/1号 [雑誌]


↑この展示の感想メールを送るアドレスが入ってるバーコードなんだけども、そのために数本立ってるこういう柱にそれぞれ違う落書きがちゃちゃっと入ってるんである。