国立科学博物館にて「ダーウィン展」を見る

 チャールズ・ダーウィンの生涯と業績を辿る、という企画。アメリカ自然史博物館による展示物がブラジル、ニュージーランドを経て回ってきたんだそうで、ナマモノ系としては折角だから行ってきたのだった。
 来年は「種の起源」出版150年にあたり、この展示は東京の会期を終えたら大阪へ回り、オーストラリアだかを経て来年にはロンドンで公開されるのだとか。
 で、展示。
 ええと、ダーウィンの進化論(種の分化と系統樹、地質学→生物分類学自然淘汰と性選択、等々)と、その科学史としての背景を学ぶには良い展示だと思いますよ。ただ、ダーウィン個人や時代背景に係る文物を見るための展示としてはちょっと物足りないかも。割合としては、新しく作った説明パネルや動画映像の方が多いような気がするし。まあ、ぱっと見には普通に古びた標本や日用品や手紙・書籍なんかなんで、見た目には地味ですしな。あるいは、集められた歴史的展示物以上に、科博の展示作成担当が頑張った、ということかも。
 あと、この科博の展示については上野動物園の協力を得て、生体展示をやってたりするのだった。ゾウガメとグリーンイグアナとベルツノガエルの。――いや、どれもほとんど動かない動物だから、模型でもいいんじゃ、という気もするのだが。(案外模型だったりして?;)ゾウガメの「太郎」(来日が1969年2月、御年75歳とか)は、硝子張りの結構広いスペースに一人でおりましたが、一回りして戻ってきてみても全然ポーズ同じでしたな。まあそんなもんなんでしょう。人間の感覚で文句を言ってはいけない。そういや、近くで見ていた親子連れのお母さんの方が「ほらほら、浦島太郎のカメ!」とか言っていたのを耳にしたのだが、うん、気持ちは分かるけど彼は陸ガメだと思うなっ?
 それと、最後の方のスペースで、米国の科学者達が代わる代わる登場して話している動画を流していて、ちょっと笑った。というのはその内容は「化学的な『仮説』はただの思いつきや空想とは違います」「創造論は科学的に十分な説明を与えていません」というのだったので。その直前のスペースは、過去に米国各地で起こった教育現場でのインテリジェント・デザイン一派による反進化論論争についての展示だったもので。進化論は不完全な仮説だから、教育現場では「証明されてない」ということもちゃんと教えるか、でなければ他の仮説(ID論)があることも教えるようにしろ、というやつね。
 まあその、米国の自然学者も大変なのね; きっと日本以上に風当たり強いんでしょうね。
 家庭的背景とかウォレスの存在とかはちょっと触れただけなのが今一ではあったけれども(まあダーウィンの一生からしたらそんなものか;)とりあえず愉しんだので、図録と絵はがきとお土産なんか買って、カメのガチャガチャを一回やってゾウガメをゲットしてから出たのだった。あ、科博の中庭は薔薇がよございますな。