「ゼロの焦点」を見る
早めに仕事が上がったらまた映画だ! と出かけていく。今日は何を見るかちゃんと決めていなかったのだけども、上映期間終了が早そうな気がしたので、これを。松本清張原作で、1961年に一度映画化されている作品を、清張生誕100周年記念で再映画化したというもの。
で。評判が割と地味な様子だったので多少心配もしてたのですが、いや、これはいいですよ。主人公の広末涼子をメインに宣伝してる様子でしたが、共演が中谷美紀と木村多江と鹿賀丈史なのでした。(ええと、相手役と言うなら西島秀俊のはずなんですが、この方は割と地味でしたな)あと、戦後の日本の風景や小物もちゃんとしてるようでしたな。埃っぽかったり、つましいなりにこぎれいにしてたりする様子がよござんす。
何よりこの映画は、犯人の壊れ具合がなんとも。ああ、言いたい。でも言えない。うう。すごいんです。そうか、それでこのキャストか、という。
毅然として立派に振る舞っていたはずなんだけども、なんだかどことなくバランス崩れてると思ったら、後半からそのままはっきり壊れてくの。またそれを庇おうというある人の捨て身の献身が、なんとも。
しかしこのストーリー、松本清張著の原作小説も読んでないし前の映画化やドラマ化も見たことはないはずなんだけど、なんだか非常に既視感がありますよ。二重生活とか因縁話とか、断崖絶壁から落ちると死体も上がらない自殺の名所が(二時間ドラマサスペンスの定番だ!)、とか。いや、ステレオタイプだというんではなくて、おそらくこの話の原作が書かれた後にこれが一つの原型に「なっちゃった」んでしょうね、おそらく。それだけ知られた物語だと言うことか。
ちなみに戦後、過去を隠そうとして云々、と、女性の権利運動とかいうエピソードから私が思い出したのは京極夏彦著「絡新婦の理」だったんですが。あるいは「絡新婦」はこの原作あたりを意識して書かれたものかも、などと思いましたな。
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