Bunkamuraミュージアムエルミタージュ美術館秘蔵「エミール・ガレとドーム兄弟展」に行く

 折角の週末皆様如何がお過ごしでございましょうか。
 ここは懸案の展覧会の一つや二つ行っておかねば、ということでがんばって家を出たけれども、がんばった割には出足が遅いもので、自動的に行き先はBunkamuraになるのだった。(他の多くの美術館よりも遅い時間まで開いてるもので)
 まあここで今やってるのはガレおよびその他アールヌーヴォーだし。そういうものなら下手すると二度三度見に来ることになるかもしれん、というくらい期待の展示でしたし。いいんだけど。
 で、見ました。副題「フランスからロシア皇帝への贈物」というこれ。ガレのガラス工芸はこれまでもサントリー美術館のや北澤美術館のとか、ナンシー派展で来たやつとかで見ているはずなんだけども、今回のはさすがに見たことないのが多かったですよ。いや量産品もかなり混じってるとのことだし、ガレのガラス器だからイメージとしてはかなり類似のものがあるんだけれども。それでも。
 流石に寄木細工の大テーブル《フロール・ド・ロレーヌ》はちょっと凄かったですよ。惜しいのは、柵越しに伸び上がって見るだけなので細工の詳細まではわからないことだけども。(寄木細工だから遠目だと地味なんだよっ;)あと目玉のもう一つは花器《トケイソウ》ですな。真ん中の壷状部分のトケイソウ紋様は華やかだけども、基部には濃紅色にアザミの葉かなにかのとげとげ模様がうねうねしてるのだった。
 それと驚いたのは、小品ながらやはり皇室への献上品の「水草にカゲロウ文花器」と「花文筒型花器」。何が驚きって、これはガレのガラス器に、サンクトペテルブルグに運ばれてからファベルジェが銀細工の台座つけてるんですが、全然違和感ないんですぜ。わあちゃんとガラス表面と同様の細波模様つけてるよ、とか、花瓶の柄から抜け出たような花の彫像になってるよ、とか。いやこれはガレじゃなくってファベルジェの職人の労作なんですけども。解説を読むとどうやらファベルジェで独自にやった細工らしいので、ガレもこんな風になるとは思わなかったろうなあ、とは思うけども、こんなのこんなのよそでなんか見られませんよという。(ガレのガラスは基本的に量産を見込んだ工芸品なので、花文筒型花器などはデュッセルドルフに同様の物は残ってるらしい)
 で、まあ展示自体は随分楽しんだのだけど、「エミール・ガレドーム兄弟」という展示会名はちょっと無理があるかも。19世紀終盤にフランスからロシア皇室へ贈られた美術工芸品、となると当然のごとくメインはガレになる訳だけど、ドーム兄弟は決して多くないし、その他にもヴェネチアン・グラスからアール・デコの傾向に至るL.C.ティファニー、ラリックに至るまでちょっとずつ並べてあるし、「ガレ以外」の中でドーム兄弟が特別突出してるという扱いでもないような。「エミール・ガレアール・ヌーヴォーの時代展」とでもしたほうがよかったんじゃないかな、と。
 ともあれ時間をかけて堪能して、ショップにはいろいろと華やかなグッズがあったけれども財布の状況とパチモン臭さを秤にかけた結果図録だけ買って、出たところのドゥ・マゴでお茶して帰ったのだった。
 気力と体力が盛り上がったら、会期中にもう一回くらい行ってしまうかもしれませんな。
 ↓こちらは会場売店に置かれていてちょっと誘惑された関連書籍。最近めっきり現金で本を買わなくなりましたな……(ポイントバックがないもんで)

アール・ヌーヴォー ガレ、ドーム、ラリックの煌き (別冊太陽)

アール・ヌーヴォー ガレ、ドーム、ラリックの煌き (別冊太陽)