「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」を見る

 mixiの某コミュのオフで映画鑑賞会であった。どちらにせよこれは見るつもりであったので、いそいそと出掛けていく。TOHOシネマのマイレージが貯まっていてよかったよかった。
 で、映画。
 やあ、思いの外血みどろでした。ちゃんと喉かっ切って流血するとこ描いてるし。でも元がブロードウェイ・ミュージカルだから、冒頭から台詞は歌ってるし。ゴスらしい色々妙な演出が盛り込まれてるが、ティム・バートンなのを考えたら推して知るべしであったか。
 まあ本来救いようのない酷い話なんだけども(無差別大量殺人と人肉食)、それが「無実の罪を着せられたことと妻子を奪われたこと復讐」という人情話と解離してるような気はする。トッドが無差別殺人を始める中盤以降、感情移入していいのかいけないのか収まりが悪いのだな。
 まあ被害者はすこん、とばかりにシューターを下って地下室に頭から落ちるので、それをパイにしちまうあたりになるといっそ清々しい感じもするんだけど。
 個人的に気に入ったのは、ラベット夫人が夢/妄想を語る下り。夢だけに、このシーンだけやたらと軽やかに明るい。トッド氏は相変わらずクマつくって不景気なツラしてるにも関わらず、縞模様の水着着込んでたりするし。明るく清潔な教会で婚礼衣装着込んでたりするし。何をどうすればこんな陰気な男にそんな明るい夢を見られるかと。
 しかし当たり前のことながら、物語は明るい展開はしないのだった。ずっと、ところどころに登場しているあの人物になんとなく展開は予想していたけども、無差別殺人犯の悲喜劇という文脈からは余計かもしれん――いや、ああでもしないと結末はつけられないものか。
 それはそうと、アラン・リックマン最近こういう役ばっかりなんじゃないかなあ。まあ、要するに嵌るから、ということか。船乗りの青年にコレクションを示すあたり(私は見落としていたのだが、邸内に飾ってある他の絵も軒並みやらしいのばかりだったらしい)キャラ立ちまくりと言う感じでしたが。