サンシャイン60へ

 子供連れをかきわけかきわけ展望台に上がる。連休終わりまで限定の鬼太郎カフェが開設されている、というので出掛けたのだった。本来はゲゲゲの鬼太郎妖怪村の企画の一部なのだが、気になるのは、もっぱら妖怪キャラクターのカフェメニューの方なのだった。目玉のおやじゼリーとか。一反木綿牛乳寒とか。
 午前中から出てきた甲斐あって、カウンターにはまだ目玉おやじが出てきている――と、思ったら、3人ほど前で丁度売り切れとなる。……ワタシ何か悪いことしましたか〜m(T△T)m 心当たりがありすぎて分からないよっ!
 気を取り直し、鬼太郎ファミリーサンデー(バニラとチョコのソフトクリーム、コーンフレーク添えに、妖怪焼き印のクッキーが添えられただけなので妖怪色は薄い)と、一反木綿の牛乳寒を食す。

 牛乳寒は一反木綿2枚分で1セットなんだなあ。てことは一反ちゃんってたくさん居るんだなあ。一族郎党かしら。――なんてことを考えていると、実は木綿に限らず色々居るんじゃないか、という発想になる。一反絹、一反麻、比較的若いのでは一反ナイロン、一反レーヨン、凄く若いのになると一反ゴアテックスとか一反シルックとか。NASA生まれの新世代とか。
 ――なんてえお馬鹿なことはともかく、よく考えると牛乳寒に黒蜜ときな粉はどうよ、と思う。これで食べるならくず餅でしょう。でなきゃ杏仁豆腐にしてシロップで食べるか。――まあ色々言いながらも食べちゃったけども。
 折角60階まで上がってきたので、食べた後は展望台を一回りして、グッズ売店をひやかしたり(なんかここに売ってる玩具とか土産物、昭和の色合いが強いですな;)、東京圏一円の眺望を堪能したりする。高いところではお約束の「をを……ひとがゴミのようだ……」とか;

 しかしこの展望台からの眺めって、この時は湿度が高かったのか遠くは霞がかかってはいたけども、見渡す限りずっと建物の列なんですぜ。多分北はさいたまアリーナ、南西は川崎のあたりまで見えてたと思う。都心はそんなに広くないはずだけど、それでも新宿やいつもいるあたりに近い霞ヶ関〜新橋〜汐留〜品川あたりのビル群、東京タワーや六本木ヒルズ森タワーが小さく見えるのが不思議な感じ。所々に小石川の植物園とか新宿御苑とかの公園や、あるいはお寺さんなどの木立の緑が島のように残っているのだが。
 これだけ人が極度に集積してたら、何かみょーなものが湧いても不思議じゃないなあ、などと思い、なんだか街の「気」に当てられたようになって降りてきたことであった。
 ――と、その後に更に下でお昼食べたり、つい安いんで変な傘なんか買っちゃったり、洋服とかアクセサリなんか散々見て回ったりしたわけだが。人間って結構懲りない;

国立新美術館にて「大回顧展モネ」を見る

 池袋から乃木坂へ回り、国立新美術館へ。お目当ては開館記念企画の「大回顧展モネ」であるが、折角だからこの美術館の妙な建物とお庭を堪能しようということで。
 国立新美術館は――いいけどこのネーミングなんとかならないのかしら; 年期が入ってきたらまた変えるんかしら;――結構人が出ていたが、通路もフロアも広く天井が高いので、閉塞感はそれほどでもなし。ただこのモネ展は呼び物の開館企画ということもあり、チケット売り場も入場口前も行列が出来ていた。チケットは既に入手していたし、列で気長に待っていたら十数分ほどで入れたのだが。
 ただ、それぞれの作品が比較的大きいのでかなりましとはいえ、絵の前に人だかりができるのはいかんともしがたい。モネの絵は、特に印象派の技法で描かれた作品では、近くでしげしげ見るよりも、遠くから見た方が捉えやすいのだけども、それでも下の方が手前の人の頭で隠れてしまってるのは辛い; 
 とはいえ、場内がまんべんなくぎっちり込んでいる訳ではなく、人の波にも動きがあるので、空いている所を選んで先に眺めながら、行きつ戻りつする。体力脚力には負担だけども、その方がストレスはたまらないような。
 しかし作品群はというと、流石に良く集めましたね、と言う感じ。海外の大きいところからまとめて借り受けたというよりも、国内各所の美術館や企業の所蔵する作品をちょっとずつ集めてきたらしく、所蔵団体などを見ると日本国内が随分多くて、しかもばらけている。何枚となく描かれた「睡蓮」や、日本庭園等を描いたジャポニスムの印象からか、モネって日本人には特に人気のある画家らしい。
 更に今回の展示の企画は、モネの作品だけではなくて、モネの表現技法に影響を受けたと思しい後年の画家達の作品も隣接した別室に並べていた。まあ試みとしては面白いんだけども、関連性を言われても「そうか?」という印象の物も多かったのだが。特にアバンギャルドな作品では。
#モネの光の表現とか先進的な工夫は分かるけど〜、あれは前衛芸術の抽象性とは全然意図が違うような……?;
 さて一通り見て、図版を購入して出てきてから、折角だからと美術館内をうろうろする。各階天井の高い上に正面のガラス張りのロビーは最上階まで吹き抜けになっていて、そこにさかさに床に突き立てた円錐状の巨大構造物が2つ屹立している。各円錐の上向きの底面の上は、二階と三階フロアに渡り廊下で繋がっていて、喫茶室とレストランになっているんである。変な構造だなー、と危ぶみつつも、喫茶室でお茶して、館内の写真を撮りまくる。波打つカーテン状のガラス壁にどんな構造上の意味があるのか良く分からないけど。見て楽しいは楽しいけど、悪戯に建築費用を上げているだけではないんか、とも。

 せっかくだから三楷まで上がってみると、小さいながらも充実した美術関連書籍の図書室があって、夕方6時までなら誰でも利用可ということだった。複写サービスも頼めるらしい。(こちらは5時まで)ありがたいので、今度資料探しに来てみようかと思う。今日はちょっとシンボル辞典など開いてみるのみにしたが。
 更にまだ明るいのを良いことに、地階への階段を降りてみると、こちらはカフェテリアとミュージアムショップになっているのだった。先に書いた二階三階の喫茶室とレストランの他に、一階にも飲み物メインのカフェスペースはあるんだが、ここは温かい料理も出したりお弁当を売ったりもするらしい。さらにこのミュージアムショップが――なんというか、ヴィレッジヴァンガードみたいなのだった。明和電機のオブジェ他、妙な絵はがきや置物・Tシャツ・インテリア類が並ぶし、書籍のコーナーには漫画も多い。退屈した時にここらで時間を潰そうとしたら、外の時間の流れを忘れてしまうかもしれん、というマニアには危険なところだ。――ただ、どういうターゲットを想定してるか、と首を捻るところもあるが。

東京ミッドタウンふたたび

 さて、結局日暮れ近くまで美術館内を歩き回ってから、先日とは逆のルートで東京ミッドタウンへ向かう。今日は特に何も買わず飲食もせず、まあ通り過ぎるだけ――と、思っていたのだが、各フロアの吹き抜けを囲む柱の一本毎にショーケースがあって、中にオブジェが飾ってあるのに気が付き、結局全部見て回ってしまう。一階フロアはガラス、二階は陶磁器・樹脂等、三楷はミッドタウン建設前にこの土地から出土した、江戸時代の萩藩・毛利家の邸で使われていたと思しい食器類等。
 ただその、オブジェとか出土品自体は面白いんだけど、ショーケース内に軒並みうっすらと綿埃が積もっているのは何だろうか; いや大した量じゃないんだろうけども、物がガラスや光沢のある磁器だったりして、上面からライティングするようになっているものだから、積もり具合が殊更目立つんですね。
 ああいうものは、いったん収納するとなかなか掃除もできないんかな。しかしてあの綿埃はどこから入ったというのだろう?;