国立新美術館にて「大回顧展モネ」を見る

 池袋から乃木坂へ回り、国立新美術館へ。お目当ては開館記念企画の「大回顧展モネ」であるが、折角だからこの美術館の妙な建物とお庭を堪能しようということで。
 国立新美術館は――いいけどこのネーミングなんとかならないのかしら; 年期が入ってきたらまた変えるんかしら;――結構人が出ていたが、通路もフロアも広く天井が高いので、閉塞感はそれほどでもなし。ただこのモネ展は呼び物の開館企画ということもあり、チケット売り場も入場口前も行列が出来ていた。チケットは既に入手していたし、列で気長に待っていたら十数分ほどで入れたのだが。
 ただ、それぞれの作品が比較的大きいのでかなりましとはいえ、絵の前に人だかりができるのはいかんともしがたい。モネの絵は、特に印象派の技法で描かれた作品では、近くでしげしげ見るよりも、遠くから見た方が捉えやすいのだけども、それでも下の方が手前の人の頭で隠れてしまってるのは辛い; 
 とはいえ、場内がまんべんなくぎっちり込んでいる訳ではなく、人の波にも動きがあるので、空いている所を選んで先に眺めながら、行きつ戻りつする。体力脚力には負担だけども、その方がストレスはたまらないような。
 しかし作品群はというと、流石に良く集めましたね、と言う感じ。海外の大きいところからまとめて借り受けたというよりも、国内各所の美術館や企業の所蔵する作品をちょっとずつ集めてきたらしく、所蔵団体などを見ると日本国内が随分多くて、しかもばらけている。何枚となく描かれた「睡蓮」や、日本庭園等を描いたジャポニスムの印象からか、モネって日本人には特に人気のある画家らしい。
 更に今回の展示の企画は、モネの作品だけではなくて、モネの表現技法に影響を受けたと思しい後年の画家達の作品も隣接した別室に並べていた。まあ試みとしては面白いんだけども、関連性を言われても「そうか?」という印象の物も多かったのだが。特にアバンギャルドな作品では。
#モネの光の表現とか先進的な工夫は分かるけど〜、あれは前衛芸術の抽象性とは全然意図が違うような……?;
 さて一通り見て、図版を購入して出てきてから、折角だからと美術館内をうろうろする。各階天井の高い上に正面のガラス張りのロビーは最上階まで吹き抜けになっていて、そこにさかさに床に突き立てた円錐状の巨大構造物が2つ屹立している。各円錐の上向きの底面の上は、二階と三階フロアに渡り廊下で繋がっていて、喫茶室とレストランになっているんである。変な構造だなー、と危ぶみつつも、喫茶室でお茶して、館内の写真を撮りまくる。波打つカーテン状のガラス壁にどんな構造上の意味があるのか良く分からないけど。見て楽しいは楽しいけど、悪戯に建築費用を上げているだけではないんか、とも。

 せっかくだから三楷まで上がってみると、小さいながらも充実した美術関連書籍の図書室があって、夕方6時までなら誰でも利用可ということだった。複写サービスも頼めるらしい。(こちらは5時まで)ありがたいので、今度資料探しに来てみようかと思う。今日はちょっとシンボル辞典など開いてみるのみにしたが。
 更にまだ明るいのを良いことに、地階への階段を降りてみると、こちらはカフェテリアとミュージアムショップになっているのだった。先に書いた二階三階の喫茶室とレストランの他に、一階にも飲み物メインのカフェスペースはあるんだが、ここは温かい料理も出したりお弁当を売ったりもするらしい。さらにこのミュージアムショップが――なんというか、ヴィレッジヴァンガードみたいなのだった。明和電機のオブジェ他、妙な絵はがきや置物・Tシャツ・インテリア類が並ぶし、書籍のコーナーには漫画も多い。退屈した時にここらで時間を潰そうとしたら、外の時間の流れを忘れてしまうかもしれん、というマニアには危険なところだ。――ただ、どういうターゲットを想定してるか、と首を捻るところもあるが。