六本木ヒルズ森美術館にて「医学と芸術」展を見る

 元はと言えば例によって映画(と宴会)の会のために六本木へ向かったのだった。私も今回は映画から参加の予定であった。今回の映画は「かいじゅうたちのいるところ」で、ちょうどTOHOシネマズでは「お年玉つき年賀状の末尾が1か4のを持っていくと1000円に割引」という企画をやってるとのことだったし。
 だがしかし。3時前からの上映のチケットが、1時過ぎには売り切れてしまってのだった。抜かった、としか言いようがない。みんなそんなに「かいじゅうたち」が好きか。かなり通好みちうかマニア向けな感じの印象があったんだけども。あんまり宣伝も見ないし。
 まあ同日の上映作品の中で、封切り後最初の週末にあたるのはこれくらいだった、とか理由はあったらしいのが。(ちなみに後で見た方々から聞いたところに拠れば、映画自体はあの原作絵本のほのぼの痛快なイメージを大きく裏切る鬱展開だそうな)
 で、映画を見る方々とは後程合流することにして、いい具合に時間が空いたことでもあり、懸案のこの森美術館の展示へ。ダ・ヴィンチの素描やら応挙の骸骨絵が来てるとかいうので気になっていたのだった。
 で。いやいや。素敵な企画でございました。素晴らしきかな人体。まあ万人にお薦めはしませんが。私のためにあるような企画だ、と。思ったほどグロい展示品はなかったけども、「人体」や「生と死」を軸に多様なアプローチを見せてくれている。応挙の他に河鍋暁斎の遊ぶ骸骨図とか、有名なヴェサリウスの解剖図(来てたのは1枚と表紙だけだけども、他の6枚分もイメージデータがモニタに出るようになっている)とか出ているし、ウィリアム・ハンター作の解剖図(これ。ちなみにウィリアム・ハンターはジョン・ハンターの長兄で、ジョン・ハンターをこの稼業に引っ張り込んだ張本人とのこと。こっちも参照のこと。)なんかもあった。更にはスペコラにあったような蝋製解剖模型(頭部のみ。断面図を見せてるもの)や、「人体の不思議」展で見せている樹脂包埋標本も1点(人体上半身正中線スライス)あった。スペコラのヴィーナスのような、普通に横たわった若い女性の人形に見えるが、腹が開いて内臓を晒すようになっていて、子宮には胎児がいる、というミニチュアの象牙細工なんてのもいくつかあった。どうやら17〜18世紀あたりの欧州で一部富裕層に流行ったらしい。
 ――いや、展示品は解剖図とか解剖模型とか骸骨だけでもないんだけどね、どうもスペコラの人体模型群といい、こういうものには特に心惹かれまして。あでも、スペコラからは来てなかったですよ。
 そんなこんなで興奮冷めやらぬままであったが、図録のみを購入し、宴会に合流するために会場を後にしたのだった。まだ会期には余裕があるので、気になっておられる方は是非。