「ジェイン・オースティン 秘められた恋」を見る

 仕事が早めに上がったもので、ここは映画だわ、と見て帰る。しばらくコスチューム・プレイものにもご無沙汰であったので、ちょっと前に予告で見て気になっていたこれを。主演がアン・ハサウェイで、助演のジェームズ・ マカヴォイって聞いたような見たような役者さんだけど誰だっけ、と思っていたら「WANTED」でヘタレ青年からしたたかな殺し屋に成長する役をやってた彼だったのね。
 実はジェイン・オースティン作品はいずれも未読なんだけども、可愛らしくも真摯な話になってますな。原作は多分、著作「高慢と偏見」を頭に置いた上で書かれた評伝だと思うので、こういうことがほんとにあったとまではさすがに思わないですな。しかし、あってもおかしくないか、というくらいの説得力はある。田舎牧師の娘として、教養や気概はありながらも貧困と世間の目を息苦しく感じる娘が、いかにして大作家になったか、という、若き日の恋の顛末と再生の物語。
 とりあえずアン・ハサウェイは快活で愛らしいし、都会から来てプライドばっかり高くてやな奴かと思いきや、という恋のお相手ジェームズ・マカヴォイも魅力的。やあ、体鍛えといて良かったですね。半裸でボクシングするシーンとか、クリケットの後川に飛び込んでばしゃばしゃ、なんてシーンもあるし。
 その他、見終わっての感想を挙げると。(ネタバレ含むが)

  • 高慢ちきで子供っぽいと見えた男にも色々あるのだった。しかし、そんなに貧乏してるようには見えなかったけどなあ。それほど金がいるならあんなに遊んでて良かったんかい、と。
  • 間抜けと見えた金持ちの坊ちゃんは、言葉数が少なかっただけで、意外に知的で思慮深い良い奴だった。(や、傍から見てると、この人と結婚しても良かったんじゃないかい? てくらいだが、問題はあのおばさまなのか。)
  • 従姉の伯爵夫人の割り切った恋愛テクニックは侮り難し。フランス宮廷仕込みか? にしてもあの方いくつくらいだったんだろ?(と、どうやってご家族を説得したかが気になる。金で解決できたんかな)
  • 判事の伯父さんはもしかして、伯爵夫人に下心があったんかな?
  • 最後まで見ても、脇をちょろちょろしていた牧師候補の彼がどういう立場だったのかがよく分からない。お父さんのお弟子? でも元々お父さんの後継と見られていたのはお姉さんの婚約者の彼だったでは?
  • にしても、生涯に発表した長編小説が6作だけで生活できるのか! どんな時代だ! てかどんな生活水準だ!

 まあロマンス小説とか少女漫画とかの黄金パターンのような気もするのだが、キャラクターも映像も魅力的だったので良し。ハンプシャーって綺麗なとこですなあ、とか、田舎といえどもグレシャム夫人のお屋敷とかすごいもんだなあ、とかいう喜びもあったもので、ついパンフも買ってしまったのだった。ううん、タダ券に釣られてつい散財してるような……;