「パイレーツ・ロック」を見る

 映画の日なので最終回に懸案のこれを。
 や、わたくし的には大変よございましたよ。いい役者さん(特におっさん)が本気でバカやるっていいなあ。お陰で主人公のカール少年はかなり翳んでましたが。
 びしっとスーツ着て、でも赤いマフラーとか色柄のシャツとかポップなおしゃれさんのビル・ナイ(多分経営者であるところのクエンティン)が猥語連発しちゃうとことか、米国から凱旋帰国のDJギャヴィンの登場シーンが帽子につけた羽根の先から、とか(パターンとしてはヒーローは何故か足下から登場、をひと捻りした感じか)、フィリップ・シーモア・ホフマンの米国人DJ「伯爵」がひげ面がワイルドだがビヤ樽腹のおっさんだったり(この人こんなに太ってたっけ?;「ダウト」の神父役の時はもっと筋肉質に見えたんだけども、役のために太った?;)とか。
 何より、ケネス・ブラナーの大臣のスカし具合かなあ。特にクリスマス・ディナーの場面のシュールなことってば。「非常に盛り上がったな」って、よくこんな男と家庭生活やってられますな奥さんお嬢さん!!
 まあ、反骨精神溢れるロック野郎達の戦いの記録、を期待して見たら肩すかしかもしらんけど。でも随所に織り込まれる、おそらくイギリス中で親や先生に隠れて、あるいは仕事の合間やベッドルームやパーティーの最中に頭を寄せ合って音楽を聴き、一緒に踊る人々のシーンはちょっといいですよ。中にはきまじめそうななりの老紳士達や、手をつなぎ合った老夫婦なんてのもいたりして微笑ましい。そして終盤、タイタニックか!という流れで、これらの人々のパワーが炸裂する。やあ、なんか、「実は繋がっていた」「みんな同じことを願っていた」って展開はいいですね。
 ところで、ラストの方ででかいヨットの上でシャンパングラスを傾けてる身形のよい人々は、もしかして王室のどなたかですかね? まあこのお話自体は、実際の海賊ラジオ局船に取材してるとはいえ、完全なフィクションらしいんですが。