Bunkamuraザ・ミュージアムにて「ベルギー幻想美術館 クノップフからデルヴォー、マグリットまで 姫路市立美術館所蔵」を見る

 この展示を見るのも懸案だったのだった。マグリット何点か来てるっていうし。目玉はデルヴォーらしかったけども、それ以外にもクノップフとかアンソールとか色々来てると言うので。
 実際見てみると、アンソール、マグリットデルヴォーはそれぞれコーナーを設けていて、素描とか版画の連作とか結構な枚数を展示してましたな。マグリットは壁画「魅せられた領域」の複製を含む版画(とはいえリトグラフなのでフルカラーだしほとんど肉筆に見劣りはしない)連作「マグリットの捨て子たち」とか来ていて良かったですよ。
 しかしこの三人以外の点数の少ない作家陣もまたよし。ポスターになってるクノップフヴェネツィアの思い出」なんて意外なほど小さな作品なんだけども、なんかじわじわと印象に残ってしまう。他にもフェリシアン・ロップスとか。幻想的な大型作品数点の他に小さい版画で、エロ画としか言いようのないものが何点も展示されていて、をを!と思いましたよ。しかし何故かロップスのこのあたりの版画は、図録には全然掲載されてないのだ!
 そう、展示品目にさほど文句はないんだけども、図録の貧相なのが気になったところ。というのも、提供元の姫路市立美術館で前にやった展覧会のを流用して売ってるんだそうで。このため、図録には今回来てない作品(姫路の所蔵の国内画家作品とかね)まで載ってたり、来ている作品が何点も落ちてたりする。マグリットデルヴォーの版画については別冊子を出しているのだけども、そんなわけだから無料配布の展示作品リストしか、今回のBunkamuraに出てる展示作品をフォローできるものがないのだが、このリストはタイトルのみだから、これを見ただけではどんなのが並んでたかはわからないのだった。
 あるいはなんぞ、展示作品ラインナップの印象を残したくない理由でもあるのか。いや、ロップスのあんな絵とかを持って来ちゃった時点で色々考慮したのかもしれないですが、ワタクシ個人としてはそれで余計に気になっちゃったんですがなあ; アンソールの版画作品群なんかも、キリストの一生を描きながらアイロニーたっぷり、てものだし、この展示自体がお行儀のよいところに納まっていない、というものだと思うんだけど。そういうとんがった作品群を図録に載せないからって、何か好転するものではないと思うのだけども、どうなんでしょう?