「ウォーロード/男たちの誓い」を見る

 ジェット・リーアンディ・ラウ金城武による、清朝末期、太平天国の乱の戦場を舞台にした中国映画。
 モブを大量に動員してるらしいアクションはさすが。埃っぽくて(というか泥まみれ。塹壕で飢えて膠着状態、なんて場面もあるし)血なまぐさくて情け容赦ない。主役格の三人が敵の雑魚をばったばったと斬り殺し、というシーンでも、「英雄 ~HERO~」「レッドクリフ」のように、美しい動きの華麗なアクションというのじゃなく、泥臭く苦労してなぎ倒してる感じ。跳び回らないし、弾丸や矢も当たったり槍が刺さったりもする。画面の印象としては「モンゴル」あたりに近いかと。
 そして物語は大変に救いがない。生々しくってよろし。もっとも、「部隊を全滅させた敗軍の将(ジェット・リー)」と盗賊の頭目である義兄弟二人(アンディ・ラウ金城武)との関係は、当初の義兄弟の契りを交わす「投名状」(原題でもある)の誓いも、なんか状況に迫られて、厳しい状況を結託して乗り切るために成り行きでやっちゃったっぽいし。ここで戦いを通じて三人が互いに強く信頼をよせるようになる過程が随分端折られちゃってる気もする。「三年の戦は辛かったが楽しかった」くらい。
 しかし、蘇州攻略で城主との一騎打ちの末、領民の助命を頼まれる、というあたりから、三人のジレンマが強まって複雑な様相を見せてくる。とくにこの蘇州城主(グオ・シャンドン、という役者さんだそうな)が妙にキャラが立ってましたなあ。乱れ髪の下に覗く半面は見るからにイケメン。痩せ細ってよれよれしてても闘い始めると強い。なんかヴィジュアルバンドのボーカルかなんかみたいでしたよ。
 あとは――ジェット・リー、老けたなあ、と。いや、ちょっと前に深夜テレビで「ダニー・ザ・ドッグ」を見たせいだろうとは思うんだけども。この頃だと、ほんとにまだ少年のような顔をしてるんですな。
 あそれから、エンドロールのアルフィーの歌は、要らなかったと思うのよ; いや、単独で聞いたらきっといい歌だと思うんだろうけど、この重い重い話の結末を見た後では、ちょっとね;
 ところで本作は1971年制作の映画「ブラッド・ブラザーズ 刺馬」↓のリメイクなんだそうな。というか両方とも、元にしている暗殺事件という史実があるのだそうで、今回はかなり独自の演出を加えてるそうなのだけども。

ブラッド・ブラザース / 刺馬 [DVD]

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