東京都美術館にて「生活と芸術―アーツ&クラフツ展 ウィリアム・モリスから民芸まで」を見る

 先だって汐留で同じようにアーツ・アンド・クラフツの展示を見たことでもあり、いそいそと見に行って来たのだった。アーツ&クラフツ関連で共通の展示品も多かったが、都美術館ともなると規模が全然違うのだった。(その分枠を広げすぎて最後の1/4から1/3くらい「民芸」に割いてある、という構成になっちゃってるわけだが。)
 まあこれはこれで相当な見物でございます。汐留のと同様、というかそれ以上に対象を広げているので、「アーツ&クラフツ」と括ってもマッキントッシュグラスゴー派からウィーン分離派も結構点数を揃えているし、終盤は上記の通り日本の民芸運動なんである。柳宗悦らの。確かにモリスらのアーツ&クラフツに影響されて、ではあるんだけども、それぞれ結果として生まれた作品のラインナップを見ると、とても同じ括りでは語れないようなものであったり。
 しかしま、この流れで見て行くと、機械化大量生産と手工芸との間の反発と折り合いの歴史、という例が分かりやすくてよろしい。初期のアーツ&クラフツは、後のグラスゴー派やアール・ヌーボーやウィーン他の分離派に影響を与えたと言っても、その装飾のパターンも、ジャポニズムだと言う空間処理の方法も、それぞれ相当に違うものだし。
 おそらくその辺りをまとめてみせられた、というあたりがこの展覧会の価値ではなかろうかと思うことであった。