麻生市民会館大ホールにて立川談春独演会を見る

 チケットが取れないので諦めていたら、mixi某コミュに譲ります情報が出ていたので、問い合わせてみたところ譲っていただけることになったのだった。ありがたやありがたや。
演目は以下。

(仲入り)

 18時開演で、前座・仲入り入りつつもトータル二時間半弱もやりましたよ。
 前座の春太はお弟子さんで、「情熱大陸」の「三者面談」で「ガッツがない」とか言われてたのは彼だそうです。むう。声は出てるし喋りは達者なんだが、いささかテンポが平板に急ぎすぎかな。やってるうちに徐々によくなってきたような気はするんだけど。
 で、談春師匠が高座に上がって、情熱大陸ってなすごいもんですな、という話になる。ここでもなる。しかし「紺屋高尾」も「文七元結」もやりません、今日は「昇太」寄りの談春です、との宣言。――そーか、「昇太」成分が入ってたのか。じゃあ座布団の上で横になっちゃったり――と期待したけど、結局そこまでは行かず。まあドタバタ成分多め、ということでしょう。
 さて一席目「素人義太夫」。(「寝床」じゃないのか、と思ってたんだけど、異名なんですな。あるいは「寝床でございます」のサゲまで行き着かないと「素人義太夫」か「素人浄瑠璃」なんだろか?;)このマクラ(というには随分長かったな;)は立川流米朝一門との過去のいきさつと、最近の米團治襲名披露のことなどについての暴露話。
 ――楽しうございましたが、いいのかあれは; いや、芸としてどうのじゃなくって、オトナの事情として;「何卒ご内聞に」じゃないんかい!(まあその後ろから南光師匠に「どっかで使っとくなはれー!」と言われたら、そちらについていきたくなる気持ちは分かる。良く分かる。)
 私としては、笑いの筋からするとどうでも良いところなんだろうけども、襲名披露の時に貰った白扇を帰ってしげしげ眺めながら、「米團治師匠の白扇。うれしいなあ。」と生真面目にしみじみつぶやくあたりが、なんだか大変よかったですね。お世話になってるのね、なんだかんだ言って恩義を感じておられるのね、と感じましたんで。だってそこまでに散々「アタマおかしいでしょう!?」とか言ってた後だし!
 まあ、このマクラのネタは、「家元・談志師匠と米朝師匠がどれだけぶっとんでて周りが大変か」と、「米團治師匠という方がどれだけ天然か」と、あとちょっとだけ「親の商売を継ぐってのが落語の場合どれだけ大変かって――だからいっ平君も応援してあげてね」だったのでした。あ、米團治師匠のボケのポイントは2つ、「何ぞありましたのん?」と「掛け取りのネタが」でした。(詳細についてはこの日の独演会を聞いた他の方の記述を捜されるか、あるいはこそっとお問い合わせくださいませ。いやなにしろ「何卒ご内聞に」ですから!)
 しかし、このマクラが押したせいで「素人義太夫」があそこで切れたかと思うと、色々と忸怩たるものが。それともああいうもんなのかな? 旦那の義太夫実演の場までいかないで終わるにしても、「じゃあ長屋の連中はみんな出てってくれ」とか言われた店子一同が困って寄り合いしてる途中あたりで終わっちゃう、ちょいと唐突な感じだったんですけども。
 まあマクラはマクラで良いものを聞かせてくれたと思ったので、マクラだけで一本にしちまえばよかったのに、と思うことしきり。――あ、古典しかやらないんでしたっけ? 「父さんとポチ」とか高座にかけないんかな。
 一転して後半の「三軒長屋」も大ネタでありましたな。何しろ登場人物が多くてねえ。しかし「小股の切れ上がったいい女」がどういうんだか結局分からない。そういう話なんだと知ってはいるけど、真ん中の質屋の親父・妾と両側の鳶と剣術師範とのごたごたはこれがはじまりでございます、と言う感じのところで終わっちゃうし。ああなんか勿体ない勿体ない。
 まあ、あのくらいで終わるのがいいのかな、とも思うことではありましたけどね。また行こっと。チケットが取れたら、だが。