出光美術館にて「出光コレクションによる 近代日本の巨匠たち ―上村松園・東山魁夷・佐伯祐三・板谷波山・富本憲吉・平櫛田中― 併設:仙突展」を見る

 どうなんかな、とは思っていたのだが、チケットやポスターに波山の壺が出ているのが気になったので、行ってみたのだった。
 いや、点数は少な目でしたけども。なかなか結構でございましたよ。何がってー、やっぱり波山がね。この方のお名前は以前 東京国立近代美術館工芸館の「日本のアール・ヌーヴォー」展あたりで見て以来おぼえていたのだけど(たぶん近代美術館工芸館の収蔵品にもあるんでしょうな)エレガントな花柄が、ちょっとぬめっとしたように見える陶器の肌に浮かび上がる(葆光彩磁、という技法だそうで)のが特徴的なのだった。いやあ、たくさん並んでいてまとめて見られたのは大変よございました。
 また、板谷波山と対で(VSとか書いてあった!)展示されていた、富本憲吉の作品もよろしい。こちらはエレガンスというよりはモダンで、古典的な柄を幾何学的に配置してみたりして、モチーフは古典的ながら全体の印象が都会的というかポップだったりする。アール・デコあたりの影響であろうか。
 まあ陶器のみならず、上村松園美人画連作とか、東山魁夷の風景画なんかも愉しみましたけども。あと、一点だけ松田権六の棗なんかあったりして眼福でありました。他に売りとしては富岡鐵斎が何点か並んでましたが――これは私個人的にはあんまり。や、楽しいんですけどね。素朴な画風のものにはあんまりありがたみがわかないというか。(偏っている;)
 ところで知らなかったんですが、出光美術館には陶片室という展示室があるんですな。日本国内と中国、韓国などの歴史的な陶器の破片や、ギリシャなど地中海岸の陶器・ガラス器片を資料として並べてある。
 これがね。陶器も欠片だとあんまり興味は――、とか思ってたら、手の込んだモザイクガラスの欠片なんかあるの。ミルフィオリの元祖か、というようなうねうねしたのなんかが。割れてるから価値はかなり下がっただろうけども、完品だったらどんな宝物だ、というようなの。あうあう、と言いながらみていたら、他のケースには板谷波山が窯で廃棄した失敗作の破片だけを集めてあったりする。そう言う物だから当然扱いは荒いのだけど、見えている部分の柄だけでも、うわあこれタダのゴミにしちゃったの、もったいなーっ!!と悲鳴あげそうなのが。波山と交流のあった出光佐三氏が請うて貰い受けてきたものということだが。わあ捨てるならくれー、と言いたくなった気持ちは良くわかる。
 そんなこんなで、閉館時間間際まで堪能してきたのだった。いや、あの陶片室は、ムンクやルオーより見入っちゃうかも。(いやムンクもちゃんと見ましたけどさ;)