太田記念美術館にて「浮世絵 −ベルギーロイヤルコレクション展」を見る

 結局行けたのは最終日だったのだった。
 今回の展示は、ベルギー王立美術歴史博物館とベルギー王立図書館の収蔵品から、とのことで、作者もテーマもいろんな方面に散っていた様子。まあコレクションの中から、それぞれの作者なりテーマなりから数点ずつピックアップしてみたものかもしれないけど。
 目当ては国芳の「金魚づくし」等だったのだが、行ってみると国芳は意外に少なかったですな。巫山戯てて楽しいのだが。しかし代わりにというか、歌麿による妖怪絵が何点かあったのと、北斎の百物語からも二点ほど来ていたので良しとする。風景がとして北斎の富岳三十六景や、広重の東海道五拾三次からも何枚かずつ出ていて、このあたりは何度かそっちこっちで見ているのがほとんどなのだけども、それでもそれぞれ面白かったし
 あと、春信あたりの風俗画なども割と普通の情景が描かれてるのがよろしい。場面としては遊妓達や裕福な商家の子女達の日常生活といった場面なのだが(ということが知れるのは、描かれてる着物がいずれも豪勢だから)、身繕いしてみたり本や文をよんでたり、でれでれ寝転がってたり、形式はあるもののわりとあたりまえの人間くさいことをしてる場面なので。役者絵とか、芝居の場面なんかも多かったんですけどね、写楽とか。でもこういうのは多分、元ネタの役者や芝居自体を知っていないと十分には楽しめないんじゃないかな、とも。
 ともあれ、あんまり名前の馴染みのなかったあたりも含めて面白い展示があったので、図録を買い求めてから、階下に降りててぬぐい屋「かまわぬ」を覗く。
 ……まあ何か誘惑されるんじゃないかな、とは思ったけどね〜。この夏は、綿のロングスカーフをマフラーにするのが流行ってましたが、ここにもありまして。薄手のてぬぐいの長さを倍にしたようなやつが。手頃な価格だったもので、ついふらふらと。
 しかしこれは、このあとの日程で大いに役立ったのであった。