三井記念美術館にて「NIPPONの夏 - 応挙・歌麿・北斎から『きもの』まで」を見る

 この連休中一杯と言うことで、滑り込みで見に行ってきたのだった。ただ、前期と後期で結構入れ替えがあったのがやや残念。
 応挙は何が出ているかな、と思ったら瀧をテーマにした一画に、「瀑布亀図」があった。瀧の脇に亀が二匹居るの。わははは、なんか愛らしいの、応挙って動物とか描くとお茶目でいいわね、と思ったが、後で図録を見たら実は前期にはサントリー美術館所蔵の「青楓瀑布図」なんてえ綺麗なものも来ていたらしい。ちょっと惜しいことを。
 絵では他に、「江戸天下祭図屏風」「江戸山王社天下祭絵巻」といった夏祭りの行列を大きく描いた屏風絵・絵巻物や、勝川春章「婦女風俗十二ヶ月図」、歌麿の「夏姿美人図」などの夕涼みや行水をしている美人の図、また広重の名所江戸百景から「両国花火」など、花火の情景を鳥瞰で描いているようなものが、何点かずつ出ていた。やはり夏場の暮らしぶりが分かるものというと江戸期か。
 で、こういうものもいいのだけども、この美術館の展示だと所蔵品も含めて工芸品が多いのが愉しいところで、今回はたばこと塩の博物館などから、朝顔や杜若などの文様が施された煙草盆や煙管や印籠の類と、コウホネ水草の花ね)や亀の意匠の簪や櫛等々が展示されていた。これが、小さいのに綺麗な細工物なんで、ついじっと見てしまう。蒔絵とか、金細工とかに弱い。ガラスによる涼の演出ということで、薩摩切子(グラインダーが使えるようになって以後の比較的新しいものらしいけど)や大きなぽっぴんも出ていた。他には細工物ってあるんかな、と歩いていったら、高瀬好山作の自在昆虫置物というのがまとめて置かれていて驚愕。「自在」というのは甲冑等の細工から出た工芸品だそうなんだが、金物に塗りで精巧な昆虫の模型を造ってるんである。甲虫やらカマキリやらカミキリ虫やら蝶々やら。これは、根付けなんかを好んだ数奇者にはたまらんだろう、とガラスに貼り付いて眺める――が、閉館時間が迫っている;
 後ろ髪を引かれるように眺めて回り、ショップで図録を買ってから、三井ビルの下に入っている千疋屋パーラーで果物を食して帰る。流石にマンゴーなぞは美味でございました。(ちなみには入ってないようだった。)