企画「テルミンワークショップ」〜「やおいパネルディスカッション」

 落語の企画が終わった後、サイン会を上がった早見さんと合流し、例年の企画「テルミンワークショップ」へ大野典宏氏の様子を見に行く。会場の2階「練習室2」と言う場所を捜すのにちょっとまごついたが、これは廊下からちょっと奥まったところに出入り口のある、防音設備のある音楽演奏用の部屋なのだった。大野さんはやや緊張のご様子ながらも、着ぐるみ少女「奈奈子」ちゃん(なっちゃんと呼んでね、だそうな)の筆談によるアシスタントを得て、テルミンの構造や演奏のこつ、歴史等について講義中。思いの外観客も多し。ここで早見さん・大野さんの知己であられる中国文学の林久之氏もお見かけする。林さんは24日に「現代中国のホラー小説」の企画を予定しておられるのだった。
 さてテルミンについての講義の部分が終わり、参加者の体験コーナーに移ったところで失礼して、「やおいパネルディスカッション」へ移動。
 やおい属性の薄い私だが、これまでのSF大会でこの企画を聞いてみたら大変に興味深かったもので、また聞きに行ったのだった。やはり情熱が横溢しているところには、真摯で活発な議論が集まるものだ。イロモノ的に興味本位に語られる事の多いジャンルだが、執筆者と愛読者は本気で作品を、ジャンルを、研ぎ上げているのだった。
 今回は年頭に新刊「伯林星列」が出たばかりの野阿梓氏に、作品について訊く、というのがメインであった。既に読了された皆様にとって、この作品はBLとしてはどうなのか、とか、こういう物語を書かれるにあたって、野阿氏はどちらに感情移入するものか、そもそも少年愛を書かれる切っ掛けや、書いてみて後の現在までの変遷、書き始めた頃の「JUNE」掲載作品の特徴や、文中の視点のブレ/動きについて。野阿氏が最初の「少年愛」作品(月光のイドラだったかな?)を書き上げたときはまだ同様のジャンルの他の作品について知らず、後に山藍紫姫子氏の作品を紹介されて驚愕した、というお話など。または近年のBL業界の傾向―少年同士のラブを描いた比較的軽い作品から、「JUNE」に近いどろどろした物へと、傾向が戻ってきている感じ―など、話は尽きないのだった。