浅草漫遊

 浅草演芸ホールに行く。8月は夏休み特別興業なんだそうで、15分ぐらいずつで沢山の芸人さんが出て来るという。何より私どもの心を引いたのは、デキシージャズバンド「にゅうおいらんず」が登場するという事実であった。当然というか、昇太師匠も高座に上がるという。
 そういうわけで、番組を調べて浅草へ。むむ、この週末だとちび師匠とにゅうおいらんずの出は昼の部ではないか。開始は11時半ですよ。出入り自由とはいえ、このラインナップでは混むかもしれん――ということで、11時ぐらいには浅草に着いている予定で。
 結果として、予定は予定であった。移動の連絡が色々と複雑になっている事実を私は甘く見ていた; 更に地下鉄浅草駅から演芸ホールへの移動に手間取り、到着したときには12時を過ぎていた。
 まあ実際この日の演芸ホールは立ち見も出る盛況だったのだが、幸い先に到着していた同行者が席をとっていてくれたのだった。ありがたや。お礼がてら移動途中で入手した菓子を貢ぐ。(いやそういうことをしてるから更に遅れたともいうか;)でもどら焼きと煎餅はおいしうございました。浅草ってとこは、こういう誘惑に満ちている街でありますよ。
 寄席の演目にはどうしても当たりはずれがあるものと思うけども、今回はかなり当たりのほうだったんじゃないかと思う。噺家さんてのは高校球児と違って、がんばったからって喜ばれるもんでもないそうな。ちょっと力が抜けて、聞いても人生に何の役にも立たないくらいがいいそうな。
 まあ、役に立たないとも思わないんだけど、役立てようと思って行くのは間違いかもくらいは思ったり。
 にゅうおいらんずは1曲終わるとトランペットの小遊三師匠がへたりこむのに象徴される緩い感じのバンドだが、素人にしては悪くないんじゃないだろうか。聞くに堪えない、てほどのはずれっぷりのとこもなく、気持ちよく吹き鳴らして調子のいい感じで良かったですよ。円雀師匠のクラリネットなぞ、音量は抑えているもののやわらかい音でなかなか。また、小遊三師匠がサッチモを真似して歌った「ハロー・ドーリー」なぞは、物真似芸から離れてみても良かったと思うのですが。

 終わってから、六区の並びの店を冷やかしつつ、花屋敷の前を通って観音様の境内に入り、混み合う仲見世を抜けて、神谷バーへ。やあ、あのあたりは外国人観光客も多いですな。それと、今でもあのあたりを「六区」と呼んでるんですね。仲見世が一番のにぎわいではありますが、その周辺も結構な人出でしたよ。折角だから十二階も再建してくれればいいのに、と思ったり。
 その後神谷バー電気ブラン他を飲食したのだけど、ここも存外庶民的な店ですな。安いのが有り難いけど。あの値段設定は、養老の瀧かと。電気ブランはいくらか甘味が強いので、ソーダ割りなどにしたほうが合うかと思います。 とはいえ、結構な度数の酒なので、ほどほどのところで抑えてこの日は散会。
 しかし存外楽しかったので、また近い内に行くことでありましょう。