東京都美術館にて企画展「芸術都市パリの100年展」を見る

芸術都市パリの100年展 ルノワール、セザンヌ、ユトリロの生きた街 1830-1930年(TBS提供のサイト)
 偶々チケットが入手できたのでどんなもんだろ、と思いながら行ってきたのだが、思いの外良かった。ルノワールセザンヌ、モロー、ユトリロロダンなどの有名どころも来ていたがそれぞれ数点ずつといったところで、日本ではあまり知られていない作家の作品も一緒並んでいたのだが、時代の空気という形で一貫していたのでそれはそれで面白かった。
 印象派絵画あたりが中心ではあるが、なかには建設中のエッフェル塔工事現場で撮った写真などもあって、気に入ってしまった。だいたいああいう大きな骨格を組み上げてる現場、ということ自体妙な物で、どうしたって妙な構図になるわけだけれども、その骨組みの上に職人さんたちを立たせて記念撮影してたりとか、何かのお披露目だったのだろうか、途中のプラットホームにテーブルをしつらえて、きちんとした身なりの給仕達が食事を用意してる図なんてのもあるのだった。
 ちょっと流し見て楽しめればいいかな、と思って行ったのに、存外気に入ってしまったもので、ついつい図録と、エッフェル塔に落雷の絵はがきなんか買ってしまった。タロットカード的には不吉な図と言うことになるわけだが、なんだか景気がよさそうな気がしてしまうのは私が偏っているだろうか。
 ただ、同時代のはずではあるが、意外なほどアールヌーヴォーの作品や、ヌーヴォーの流れについて触れた解説はなかったのだった。切り口が違えば同じ土地・時代についての展示でもこうか、と思うと、ちょっと不思議な気がするが。