銀座 スパンアートギャラリーにて「杉本一文銅版画 1997〜2007」を見る

 杉本一文氏という方はかなり昔から角川文庫の横溝正史作品の表紙イラストレーションを描いておられる方なのだった。今回の展覧会では、横溝本表紙絵のオリジナルプリントもあるというので出掛けていったのだった。
 スパンアートギャラリーはこじんまりした展示スペースでしたが、それでも結構な展示点数であった。「蔵の中、鬼火」や「本陣殺人事件」、「八つ墓村」、「真珠郎」、「蝶々殺人事件」、「びっくり箱殺人事件」等々の横溝作品表紙絵がならんでいたのだった。これら表紙絵は、オリジナルで見ると一層おどろおどろしさや艶めかしさが際だつ感じ。確か私が子供の頃に出版された本がほとんどの筈だから、かれこれ三十年余り前の作品だと思うのだけど、保存状態が良いのはありがたい限り。
 会場では横溝本表紙絵のリトグラフのセットというのも予約を受け付けていて、これも結構なお値段だったのだが、私の知るある横溝者の方は購入されたということだ。実際私もかなり誘惑はされたのだが。需要と供給ですな。
 会場には杉本先生ご本人もいらして、ファンの方々と絵を描き始めたルーツ(元々漫画が好きで赤銅鈴の助とか描いていた、とか)のことや、小説の挿し絵はあまり読み込みすぎるとかえって囚われてイメージが出にくくなってしまう、という事などを話しておられたのだった。
 その他の展示作品は↓この銅板画集に収録のものが大半であったようなのだが、この画集自体も展示販売されていた。

翼類伝説―杉本一文銅版画集

翼類伝説―杉本一文銅版画集

 ちょっと悩んで購入は思い止まったのだが、買っておくべきであったろうか?;