「さくらん」を見る

 事前情報で、このスタッフはなんか奇をてらいすぎてる気がしてどうかなー、と思っていたのだが、評判が気になってきたので見に行った。これは、大画面でみるべき舞台装置であろう、と。
で。

 あかくて、くろくて、きんいろで、ぎんいろでした。

 要するに極彩色。基本的に紅いんだけど。
 これはね。私は個人的には、ストーリーが全くなかったとしても許しますよ。写真家蜷川実花の評判は、決して七光りではないです。
 でも映像美だけというわけでもなくお話もちゃんとあったし、それも結構ねちねちしてましたんで、かなり面白かった。男女の情念は勿論ですが、苦界なんて女の園だしね。(あの「屏風に血飛沫」はやると思ってたのよ)
 やはり和物をやるなら、山田洋次監督ぐらい渋く渋く徹底するか、でなきゃこのぐらいイメージを追求してさらにこのぐらい捻らなきゃだめかもしれんのう、と思いましたね。奇をてらっただけじゃねえか、と思う方もいるかもしれんが、あの奇のてらい方は実は由緒正しい「外連」というやつですな。(や、あんまり由緒正しくちゃ外連の意図としてどうよ、ということになるけど)
 椎名林檎の音楽も、あの時代の話にはどうかと心配してましたが、個人的にはかなり合ってたと思います。やあ、花魁ってロックでブルースでタンゴでシャンソンなんだのう、と。前に自宅で聞いてなんか収まりが悪かった「カリソメ乙女 (HITOKUCHIZAKA version)」も、映画館で聞いたら意外にしっくりきました。なぜだろ?;
 実際大画面で見るべき映画だと思うけど、これは後で、DVDを止めながら着物や帯や小物の柄とか、簪や調度の細工とか、背景美術なんかを細かくチェックしたいとも思いますぞ。関連グッズで玉菊屋の紋の手ぬぐいとか小さい細工物とかがあったら買っちゃうかもしれん。