埼玉県立近代美術館にて「シュルレアリスム展−謎をめぐる不思議な旅−」観覧

 意外なほど評判になっていないようだが、結構有名どころの良い作品が並んでいるらしい、と聞いて出掛けていったのだった。埼玉県立近代美術館京浜東北線北浦和駅のすぐ前、北浦和公園にあるのだが、行ってみると立派な建物なのだった。(バブルの頃にでも建てたんか?;)
 しかし会場内に入るというと、やはりあまり評判になっていないのか、来週までの展示にも関わらず、どこもゆったり見られる程度の入りであった。見やすくてありがたいけど、なんだかもどかしいような気もする。
 この展示は、日本国内のいくつかの美術館からシュールリアリズム関係の美術品を借り集めて開かれたものらしく、私が目当てにしていたのはマグリットが数点来ているというところだったのだけど、この展覧会のポスターになっている「現実の感覚」をはじめとして、結構大きくて描き込まれた作品も含め7点ほど並んでいたのだった。ちょっと惜しかったのは、会期中に展示替えがあったらしく、図版には載っていた「レディ・メイドの花束」がもうなかったことだろうか。
 これだけでもかなり満足なのだが、他にダリの大作が2点あり、他に私の好きなところではマックス・エルンストやキリコも何点かずつ展示されていたのだった。この規模にしては相当充実していたと言えるだろう。特に多かったのはマン・レイの写真だったようで、この展示の主旨は、マン・レイアンドレ・ブルトンらを中心としたグループの活動をたどる、というものだったらしい。
 驚いたことに、会場内の一部小さく区画を分けたところに、ベルメールの人形写真も7、8枚ほど並んでいたのだった。私も持っている写真集で見かけたものばかりだったけども。ただ、ものがものなので、通りかかってこの写真を見た善良そうな人々は、なんだかばつの悪そうな顔でこの区画を出るのだった。(ええまあ、傍目にはどう見ても変態なんだろうし;)
 今回初めて知って目を引かれた物としては、メレット・オッペンハイムの「鳥の足のテーブル」というオブジェだろうか。金色の小さなテーブルなのだが、鶴か何からしい鳥の細い二本の足で支えられているのだった。何か意図のあるオブジェなんだろうけれども、普通にエレガントで美しい。(でもシュールリアリズム的にはそういう評価は嬉しくないかなあ)このメレット・オッペンハイム嬢はマン・レイの写真モデルも務めていたということで、別の所には彼女のヌード写真もあるのだが、なかなかに肉感的な美女なのだった。(当時の「詩人や画家達のミューズ」とされた女性なんだそうで)
 一通り堪能し、売店に寄って図版を購入した後で、傍らにあるガチャガチャに気付いた。Yujin石膏デッサン入門と、エッシャーだまし絵フィギュアではないか!!
 こういうものには抵抗できないので、エッシャーを2回、デッサン入門を1回試みる。エッシャーは持ってなかった「滝」の部分(腐海の一部を切り取ったような奴)と、2つ目のカールアップ君が、デッサン入門も持っていなかった「マルス」が出たので、まあ良し。カールアップ/でんぐり君ならいくらでも欲しがる人がいるであろうし。

#この「シュルレアリスム展」は25日まで埼玉で展示の後、以下の場所に巡回するそうです。

 そういや岡崎や宮崎や姫路の美術館からは、結構作品が提供されていたような。日本国内にも意外なところに立派なコレクションがあるらしい。

 ということでなかなか満足した観覧だったのだが、来月か再来月にはまた北浦和に赴くことであろう。というのは、4月7日から始まるここの次の企画展は「澁澤龍彦 −幻想美術館−」なんだそうだ。
 アルチンボルドとか〜、四谷シモンとか並べるって〜。他にも、この情報ページの「出品作家および作品」の項に出ているラインナップがすごい。マグリットエッシャー、(中略)ベルメール、ブローネル、ダリ、フィニ、バルテュスですって〜。私的には激しくツボ。
 それぞれの作家の何を持ってくるのか、次第ではありましょうけどね。何にせよ、楽しみなことであります。