「パプリカ」を見る

 好評らしいので、いそいそと行って来たのだった。
 いやいやいや。雑多でキッチュでスリリングで楽しゅうございましたよ。繰り返し出てくる、極彩色のパレードの悪夢とか特に。パンフによると全体よりもディティールに拘ったとのことだけど、全体も、おおまかにとはいえちゃんと決着しているしなあ。
 細々した感想を挙げてみると(ネタバレ注意)
・パプリカと敦子の声については流石林原めぐみ。あの驕慢奔放な赤い少女と、怜悧で容赦のない研究員の硬質な声音が同じ人間から出ているとは。
・あんな所から落ちて、所長は良く生きてたなあと思った。意識が戻ったら割とすぐ起きて動いてるし。樹にひっかかったかなんかして大きな怪我にはならなかったのかな?
・理事長が出てくるたびに、攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG合田一人を思いだしたのは私だけか。ハゲで厳つい面長で、無表情だからか。
・時田との結末については「朝のガスパール」の最後の方にも出てきてたから知っていたが、あの文脈ではちょっと予想しにくかった。後半によほど何か変化するような事件が起こるのかと思って見ていた。確かにあの人物造形ならありそうなことないが、もうちょっと分かりやすい伏線を描いてもよかったような。
・バー"Radioclub"の、正体不明の二人組がよろしい。(声は筒井康隆氏と今敏氏だそうな)あんな活躍をしていたからにはどっかでもうちょっと正体が明かされるかなと思っていたが、そんなこともなし。彼等には生身の人体があるのだろうか、それともネット上からヒトの夢に出入りする擬似人格なんだろうか。
・終盤の大混乱の影響が、「現実」にどこまで出てるのかがよくわからん。ヒトへの影響は、皆が同じような拡大した夢を共有してるということだろうと思うんだが、ラストで研究所の建物をパワーショベルで壊してなかったか? 巨大いちまさんに張り手とかくらってヒビが入ってたのは、研究所の建物にも「現実」に起こったのか??
・んで、小山内や理事長はどうなっちゃったんでしょうねえ。

 ま、そういう細かいところをつつきつつも、空気を大らかに楽しむのが宜しいような気がしますよ。音楽はかっこよかったですね。