立川にて高橋葉介氏トークショー/サイン会

 先に書いたように、早川からの夢幻紳士逢魔篇と文庫版の冒険活劇篇1の発売記念イベントなのだった。
 近くでやっても……とか言ってたけども、ほんとに遠くでやったのだった。まあ、特急に乗らなくていい範囲内ではあるけども、折悪しく今日は新宿駅の工事のために、中央線は全線各駅停車だったのだった。立川駅前は大きなデパートとかショッピングモールがコンパクトにまとまってて便利そうなとこだけど、もう当分来る事はなかろうと思うとそうそう新しい開拓もできないのだった。
 まあ無事行って来たので憶えてる範囲でトークの内容など。
司会進行(ミステリマガジンの方だったか)から質問:
・禁煙したのでその影響が絵にも、と言う話
・夢幻にモデルはあるのか。自身の反映とか? → ありません。元はと言えば女の子を考えていたのが、編集側の希望でああなったと言う事情が。
・三月で50歳になられるそうだが、論語に言うように「天命」のようなものを知った所はあるか。やはり漫画を書き続けて行くことか? → とりあえずお仕事もあるので、お仕事がある限りは続けるでしょう。

 会場から質問:
・画材等について。「逢魔篇」など最近の絵の線は日本画のようだが。表紙カラーなどの赤っぽい色は朱墨か。紙の感じが和紙のように見えたりすることがあるが。ボード等は大きいのを買って切って使ったりするのか? → 日本画っぽく見えるのは筆を使っているせいでしょう。表紙の朱色は朱墨。あとカラーにはカラーインクを使っている。紙は水彩用の画用紙。今は切ったのを売ってて、それを買います。ユザワヤとかよく行きますが、応対が(ごにょごにょ)
・「逢魔篇」は台詞回し等も印象的でちょっと芝居のような雰囲気だが、小説とか芝居など、影響されたところはあるのか? → 何度か話したり書いたりしてるけど、鈴木清順監督の映画「ツィゴイネルワイゼン」が好きで、レーザーディスクを持っていて何回も見た。最近DVDになって購入を迷っているけれども、もうそろそろ散々見たからいいか、とも。ああいう不良の、というのも変だけどああいう老人はいいなあ、ああいうふうになりたいな、と思っている。後になって、「ツィゴイネルワイゼン」を撮ったとき、鈴木清順監督は50歳だったということを知った。もっと年の行った爺さんかと思っていたので、騙されたような感じ。

ツィゴイネルワイゼン [DVD]

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・一日のうち、執筆のスケジュールは? → 昔はともかく、年をとると規則正しい生活でないと辛いので、八時半に起きて、午前中にちょっとやって、昼を食べてから午後もやって、だけど遅くても1時くらいには寝てしまう。
・最近の絵柄が、ムンクあたりの影響を感じるが? → 今連載している「夢幻紳士 迷宮篇」は意識してムンクでまとめている。
・昔から、「首を切る」というシチュエーションが多いようで、今回の「逢魔篇」もそこから始まるが、何か意図したものとか? → フロイト的に言い出すと色々あるようだが、まああれは、要するにイメージとしては「サロメ」ですよね。色っぽくていいなあ、ということで。・過去の「夢幻紳士」(それぞれ完結しているけれども)で出て来た別の「夢幻君」が再登場するということはないのか? → 再登場したとしても、かなり変っていて分からないと思う。冒険活劇篇は完結しているが。
・「学校怪談」もだが、連載が続くうちに思いがけない展開が広がって行く、ということが多いようだが、あれは描いている最中はどういう感じなのか? → 一回毎に、目先の締め切りをどうにか乗り越えることだけ考えて描いている。「学校怪談」は、学校についても全く描いたこともなくて、編集側でもう決まっている企画として話を貰って、「資料? 資料あるよ」と言って渡されたのが箱一杯の学校の写真で「これ見て描いて」と言う感じで。で、五巻くらい描いたらネタが詰まって来たので、ここはキャラに行くか、ということで九段先生を出した。ということを、編集者に特に断らないでやったのだが、最初出したときは編集者は「ああ、新しい展開ですね」と言い、次も出したら「ああ、前後編でしたか」、また次も出したら「あ、三部作ですか」、でも更に出したら、やっと「え、続くんですか!? そういうことは相談して下さいよ!」
学校怪談 6 (少年チャンピオン・コミックス)

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・昔、OVAのチラシで高橋作品を知ったのが最初だったのだが、作品が映像化されるという話はないのか? → ありません。「学校怪談」も実写だけだし。来れば、特に断ることはないのだが。
#ところで、検索したらこんなものが引っかかってきたのだが、はてこれは?

 そんな感じでトークの時間が終わり、ひな壇部分はそのままで、客席を片付けて人を動かしつつサイン会に移ったのだった。しかし、サイン会の列に並びながら後ろを見ると、会場のサロンスペースから売り場の方へ、だーっと行列が続いていたのだった。トークショーは多分30人くらいに人数制限していたが、サイン会はもっとえらいことになっていたらしいのだった。
 それでも高橋先生は、一人一人に、さらさらと夢幻氏の横顔(簡潔な線画なのに艶かしい)など描かれていたのだった。あんな人数分描いて手は大丈夫だったのだろうか、というのがちょっと心配だったりする。

 抜けているところもあるかと思うけども、とりあえずこのあたりで。また思い出したら書きます。(メモとってなかったのよー;)