ガレット屋で昼から宴会をすること

 目的地の最寄り駅出口を待ち合わせに指定してみたら、複雑な構造故に駅内移動に手間どり、着いた時には他の方々はもう到着していたのだった。皆様にお詫びして取り急ぎ会場の店へ。
 で、再びブルターニュ風蕎麦粉クレープ屋である。今度は別の支店だったのでこちらはどうかなあ、と思っていたのだが、こちらもやはり店の前に行列ができる流行りようであった。人数が多いのでいきなり行って並んでいたら相当待ったことであろう。予約入れといて良かった。
 ここは何しろ一皿の分量が多めなので、人数を揃えて山分けにしようと言う集いだったのだった。食事用クレープ四皿、デザートクレープ三皿に、前菜として期間限定だか週末限定だかで出していると言うムール貝を頼み、シードルは辛口と甘口を両方頼む。当然どっちもカラフェである。
 ――が、同じ陶器のピッチャーで来て見た目もそっくりなシードルは、注ぎ合っているうちに、しばしばどっちがどっちだか分からなくなったのだった。(飲めばすぐ分かるが)まーとりあえずおいしけりゃいいやー、と、ムール貝酒蒸し(シードル蒸し)をつまみにシードルを飲む。ムール貝は小粒だが美味であった。特に最後に残ったスープが。
 しかし美味しくいただいたのはいいが、その段階であっさりシードルが全部空いてしまう。恐るべし健啖家集団。ここでノンアルコールに日和る事なく、「じゃあ白ワインボトルで――」となるのが更におそろしいところというか。私もきっちりいただいたけども。美味しかったけども。
 メインのガレットが来ると、四皿を六人で分けると言うのでしばしわたわたする。なにせ全部種類が違ったもので、それぞれを六分しなければならなかったんある。
 しかし量的にはそれで丁度くらいだったかもしれない。確かにおいしいんだけども、各種を六分の一くらいずつ食べられる方が変化があって楽しいですな。チーズ各種、ハム各種、レタス入り、クルミ入り、等など。デザートクレープも同様。これは塩バターキャラメルと、煮林檎にシナモン風味のものに、それぞれアイスクリームと生クリームが乗っていたのを頼んだのだけど、実にキャラメルソースが美味でありましたよ。早く分けないとアイスクリームが溶けちゃうのだけが難でしたが。(そもそも山分けを想定して出される料理じゃないのだろう)
 みんなでうまうま言いながらあっというまに平らげる。「こういうことだからイナゴって言われるんですよう!」「誰がそんなこと言ってるのよ」「私が」などと言いながらも私も食したのだった。うまうま。
 すっかりお腹は満ちたところで、締めにコーヒー等頼むことにする。で、ソフトドリンクのメニューを見ると、ブルターニュ産の変わったものが色々出ている。おお現地のリキュールを使うものがあるじゃないか、これは頼まないと、というのでキャラメル味のリキュール入りコーヒーを試してみたのだった。これはクリームリキュールにカラメル味がついているものを後から注いでいて、香りも味もほの甘いのだがアルコール分も強い感じなのだった。
 この食後の飲み物は各人全く別のものを頼んだので、他の方が頼んだカルヴァドスをちょっとだけ試させてもらったりなどした。かなりきついスピリッツなんだけども甘いりんご風味なのが不思議な感じではある。
 アルコールも含めて散々飲み食いして、その後は一同満ち足りた状態で腹ごなしに駅まで散策。当初は古書店街に行くかという話だったのだが、結構遅い時間にもなったので新宿で本屋でも見るかと言うことになる。
 新宿へ回り、本屋とロフトのクリスマス雑貨等見て、そこそこお腹が落ち着いた頃にお茶だけして散会。昼酒で盛り上がったためか、この時点でまだ六時過ぎであった。