東京国立近代美術館工芸館にて「日本のアール・ヌーヴォー 1900−1923:工芸とデザインの新時代」展

 結構長くやっていたはずだけど、もう会期が明日までというので慌てて見に行ったのだった。
 いやあ、思いのほか良かったですよ。「これはヌーヴォーに入るの?」というものもあったけど、それはそれで優美なものでありました。
 なにより最初のところに、影響を与えた源としてミュシャの絵とティファニーのガラス、ビアズレーの挿し絵など置いてあったのだった。わあ、国内作家のものだけだと思ってましたよ。印刷物とはいえよく手配できたなあ、と。ミュシャは「JOB」のポスターと、ペン画の婦人像のページを開いた「装飾資料集」があったのだった。中身の図案も見せようよー、としばしケースの前でじたじたしたことである。ビアズレーは恐らく一番良く知られてる「サロメ」の挿し絵が出てましたな。
 メインである国内作家の明治終盤〜大正期の作品としては、絵画に陶芸、家具等の工芸品からテキスタイル、建築デザイン(写真展示だが)まで多岐に渡っていた。まあ先に書いた通り、必ずしも分かりやすいヌーヴォーの曲線模様でははかったり、どっちかってとデコに分類されそうな幾何学模様や簡略化意匠の構成だったり、伝統的な日本の意匠に洋風スタイルを組み込んではいるようだけどヌーヴォーとは違うんじゃ? と感じるものも多かったのだが、全体に繊細優美なものを集めたような展示になってましたな。ガレ辺りと比べるなら、同じように花や蜻蛉などを意匠に使っていても、いずれもすっきり穏やかというか、柔らかい色合いのためかほのぼのしているような感じ。
 まあ良いものを見せていただきましたよ。それとこの会場の工芸館って、戦前の旧陸軍の建物だったとかで、ランプのデザインなど細かいところがヌーヴォーらしき感じになっている。
 あんまり派手な評判を聞かなかった展示だけど、これだけ良いとちょっと勿体ない感じでしたな。しかしお陰でゆっくり落ち着いて見られたわけだけど。
 図版を購入して、昼過ぎのお集りのために急ぎ移動。