SF大会一日目・やおいパネルディスカッション

 やおい属性はないのだが、ジェンダー研の企画だしな、と思って聞きに行く。「耽美」「少年愛」「JUNE」から「やおい」「ボーイズラブ」に至るムーブメントについて真面目に分析的に語る、という企画で、やおい以外にも多くのサブカルチャーに敷衍できそうな分析論だったのだが、それだけに真のやおい者には情熱への踏み込み浅いという食い足りなさがあったそうな。分析的になると言うことは、冷静さ・中立さを保とうとするあまりに感覚的に伝えられない部分を削ぎ落としてしまっているのやもしれず。
 とここで、「詫び寂び萌え」を提唱した森川嘉一郎氏によると(会場にいらしててマイクを渡された。ヴェネチア・ビエンナーレの展示が星雲賞てこともあるし)「詫び寂び萌え」とは、いわゆる「おたく」「○○萌え属性」でない、全くそう言う物を知らない外部に対して「萌え」とはなんぞや、ということを説明するためこういう表現が必要になったのであって、いずれやおいもこれと同様な外部への開示を求められるのではないか、とのこと。ただし「萌え」属性以上に、ヤオラー/腐女子の大半は、外部への開示、説明の必要など全く求めていないだろう。そのことが今後、「やおい」の社会的認知度が上がって行くに連れてどうなるか、という不安はある、とのことであった。
 そう考えると、今回パネラーとして参加した方々の試みはそうした場のために状況を整理しているかと思う。でも一方、整理されたそれは「外部向け」でもあるわけで、そうであるだけに、どうにもならない情熱でもって活動している人々には却って受け入れ難いかもしれない。
 ――と、これは私見ですけどね。なんか偉そうなこと言ってますが。
 でもこういう「外界との衝突/摺り合わせ」は、やおいやおたく属性限らず、いろんなサブカルチャー/個人的趣味道に存在する局面ではなかろうかね。してみれば、何らかのマニヤ属性を持つ者にとっては他人事ではないのだ。