「ヴィクトリア女王 世紀の愛」を見る

 予告を見て気になっていたこれが封切りになっていたので見に行く。休みに入っているためか、映画館は満員であった。上映館が少ないせいもあるかもしれないが。しかしそこまで話題とも思わなかったのでちょっと驚く。
 原題は"THE YOUNG VICTORIA"、ヴィクトリア女王の過保護に隔離されて育てられた幼少期に触れてから、第一位王位継承者となっている17歳当時のアルバート公との出会いからはじめて、戴冠、結婚、出産しアルバート公との共同統治をはじめるまで、あたりを描く。
 でだな。タイトルになんとなく厭な予感はしたのだけど。
 うーん。やはりなんというか。大甘。
 衣装や美術は美しいのだが。この時代と人物を描くなら、もっとコンフリクトになりそうなことは色々あったはずなんだがなあ、と。
 母と愛人コンロイの国王との確執や、即位してからの元宰相メルバーンとの関係についての噂など、難しいポイントも描かれてはいるんだけども、折角描き始めたことも結婚と同時にどっかへ行っちゃってるような。ほんとはメルバーンとの間を取りざたされるのと負けず劣らず、外国人のアルバート公がイギリスで権力を握ることへの警戒や不満の声も高かったはずなんだけどもね。そういうことはほぼ全然描かれないの。アルバートがなんかやりたがってるぞ、と匂わせるだけで。変事があってアルバートが献身を示すだけでなんだかお咎めなしになっちゃってるような。
 そんなわけあるかい、と思う訳だが、それを丹念に描いちゃったら「美しい理想のカップルの恋」の物語には似つかわしくないわけかと。しかしそれじゃ食いたりないよなああ、と思うことしきり。
 終盤、子供を9人作って幸せに暮らしました、みたいなまとめになってるところをちゃんと描いてほしかったですな。あるいは続編作ったり――しないか; あのまとめ方では。

 それはそうと、エミリー・ブラントはあの割れ顎でヴィクトリア女王役に抜擢されたんですかなあ。さすがに18歳の乙女にしてはちょいととうがたってるようではあったけど。