「セントアンナの奇蹟」を見る

 途中冗長だったりする、という話も聞いていたのだが、どうも酷い話らしいのが気になって見に行ってみた。
 うむ。いやあ、酷い話だった。いやいやいや。これは見ておいてよかったですわ。
 確かに中盤ちょっと冗長にはなるのだけど、映像は美しいし、物語は美しくも悲惨で哀しい。
 以下ちょっとネタバレを含むので畳むと、
 1944年パートに登場する人々の大半は作中で死ぬんですわ。いや、物語が1983年に渡って語られる訳だから当然という考えもあろうけども、そうじゃなくって; もうばたばたと。人間同士の交流や葛藤の部分はあるにしても、ああこれって戦争映画だったんだった、と否応無しに気づかされる。
 ところでこの話、セントアンナ村や、米軍の黒人部隊「バッファロー・ソルジャーズ」については史実があるそうだけども、フィレンツェの橋から落ちた彫像「春」の頭部についてはどこまでほんとなんでしょうなあ。原作小説があるらしいのだが、どこからがフィクションなのかがすごく気になる。黒人部隊とイタリアの民間人との交流、というのは史実の部分もある、とパンフに書かれてたけども。
 あと他にいくつか、細か、い割とどうでもいいことを。

  • 予告編で出て来た、1983年に殺人を犯して逮捕された男が「約束したんだ」とかいう台詞は一体どっから来たんでしょうなあ。本編では「私は知っているんだ、云々」とかいう別の台詞になってたけど。いやこれも分からないんだけどね、結局本編を全部見ても、だから何だちうねん、何を知ってたって訳じゃないじゃん! という感じなんですけど;
  • 気になったのが、エンディングのスタッフロールにミュージシャンが列挙されてたこと。いや、オケのメンバーなんだと思うんだけどね、パート別にメンバー名が挙げられてて、弦楽器がやたらと人数が多いのよ。バイオリン、ビオラがそれぞれ二十名くらいいて、チェロも十数名は下らないくらい並んでたの。その後の管楽器の人数は十名以下だから普通だと思うんだけども。あれはどういうオケなのか、そもそもサントラ用の演奏に参加したメンバーを挙げるって珍しくないか?
  • 美しい映像は多かったのだけどが、個人的に特に目を引かれたのが「ニューヨーク州立裁判所の丸天井のステンドグラス」←ふつうそんなもの気にしません、きっと; どーしてああいうものがそういうところにあるって誰も教えてくれないのよーっ!!(じたじたじた;) ああ、裁判に何の関係もない観光客が行っても見せてもらえる場所かしら。誰が作ったんだろ。いつからあるんだろ。もしかしてL.C.ティファニーあたりかしら。うるうるうる。

参考:原作小説↓ 日本語訳はまだ出てないみたい。

Miracle at St. Anna

Miracle at St. Anna