「劔岳 点の記」を見る
これは大画面でみるべき、との評判を聞いて、そういやポイントたまってるんだよな、というので見に行ったのだった。連休/夏休み最初の週末のシネコンは割引日でもないのに人が多く、みんな近場で済ませるつもりであろう、と思われた。
で映画。
うむ、良かったんだけどこれは、役者よりも山や里の風景を見るべき作品でありましょう。監督が元々撮影監督だった、というのも関係してるかな。
人間パートがそんなにまずいってわけでもないんだけど。いい役者使ってるし――うーん、でもやっぱり今一かなあ。演技がどうとかではなく、そもそもの人物が紋切り型な感じのところが多い気が。山に登る男達は変なキャラなんかつける間もなし、という素な感じだからいいけども(とくに香川輝之は似合い過ぎだ!)、宮崎あおい演じる主人公の奥方なんか、可愛らしくはあるけどこの話の中では浮いてるというか、半端に組み込まれてる感じで収まりが悪いというか。
やはりこれは、美しくも厳しい立山連峰と、明治の時代の風景を見せるための群像劇(個人のキャラ立ちは二の次三の次、か)であって、他の部分に妙な期待を掛けちゃいかんのかも。お山の夕暮れとか、山並みの向こうに富士山が見えるとことか、動きのあるとこでは雪崩とか滑落とか、それはそれは結構な見物なんでございます。
ところで、登頂後に出てきたあれには私は笑ったんだけど、場内は他に誰も笑ってなかったのだった。あれは笑うとこじゃないのか。
もっとも私が笑ったのは「行者様知ってやがったな!」と思ったからだったんだけど、パンフ他の情報によるとそういうわけではなかったらしい。
まあ、実際近代以降では死者も出るくらいの厳しいところだったわけだし、測量のためとなれば、何人もが資材を運んで登れる安定したルートでなきゃ意味がないわけで。してみると、あれはあれで十分に偉業だと思うんだけどな。むしろ、軍上層部の手のひらの返し方のが不思議でもあるのだが。
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