伊藤計劃氏死去 - kazume

　伊藤氏とは、お集りの席で二度ほどご一緒させていただいたことがあるだけなのだが。
　最初にお会いした時に既に闘病に入っておられて、脚をかばって杖をお使いであった。でも当時はまだ顔色は良かったのだ。
　ここ数ヶ月、入院期間が長くなってからはお会いしていないので知らない。たまにmixiの日記を拝見しにいくことがあったが、ここしばらくは接続も絶えていた。
　そういうご病気だと聞いていたから、そうなのか、どうなんだ、と思いつつ過ごしていたのだった。

　伊藤氏と同じく、私もあの世に福などあるものか、と考える人間だから、「ご冥福を」とは言わない。最近は「魂が安らかでありますように」と書くようにしていた。これは心より。魂があるかどうかもあの世があるかどうかと同様に分からないが、肉体以外の人格を形成する物をそのように呼び習わすことはできよう。
　――と、考えて気がついた。相手は伊藤計劃氏ではないか。

　あの方のゴーストが安らかでありますように。

　ネットは広大だわ。

　やはりなんだか実感が湧いていないのだ。だからまだどこかに居そうな気がするのだね。
　ある日見たようなmixiのidナンバーからメッセが届いて、虐殺やらメタルギアやらの小説の続きが書いてあったりはしないものか、とそんな妄想すら抱くんである。
　どっちにしても、もうここにいないし、いかようにしてもコミュニケートできないに違いはないのだけどね。