森アーツセンターギャラリーにて「ゴールド展〜その輝きのすべて〜」を見る

 既にチケットは入手していたので、お集まりの後で立ち寄った。
 この展示は「アメリカ自然史博物館がヒューストン自然科学博物館と共同で企画」とのことで、コンセプトと言い展示品内容と言い、9月に上野の科博で見た金GOLD 黄金の国ジパングとエル・ドラード展」と似たところが多かった――というか、展示品の数とバリエーションと情報量で言えば明らかに科博の方が上――のだが、こぢんまりとまとまって集約されて分かりやすいので、これはこれで面白い展示になっていると思う。それと、場所が場所だけにこちらは子供向けを意識した展示ではないし。
 科博のジパング・エルドラド展と同様、構成としては鉱物としての金、工業製品・加工品としての金、金製品の文化的な面、というような面からそれぞれ説明するという形になっているのだが、企画側がアメリカだけあって、展示品の多くは米国の地域や歴史に即したものや、米国国内の所蔵品が多かった様子。
 宝飾品の展示では、ポスター等にも出ているファベルジェのイースターエッグを目当てに行ったのだが、他のティファニーカルティエの光り物類もなかなか。(ま、かなり新しい物ではあるのだが、デザインは面白いですよ)しかし驚いたのは、世界各国の金工芸品と並べて日本刀の拵(刀身があるかどうかまでは分からなかったが細工の入った鞘と、鍔数点、目貫等が数点)があったこと。いや、あること自体は不思議ではないんだけども、これも所蔵は米国の博物館になっていた。ああ、瓦解の頃に売り飛ばされたんだろうかね、まあそういうものはたくさんあったんだろけど、と思うこと暫し。その一方で、ペルシャの王侯貴族のものという彫金の施された鎧(というよりは鎖帷子かな?)兜一式が、「個人蔵」だったりするのだった。どんな個人や; いや、お家に代々伝わってる物とかなのかもしれないけど。古い物ではエジプトの遺跡(推定年代が紀元前数千年)や、中南米の古代遺跡からの出土品などが並んでいたのだが、この展示は中南米の出土品といっても、科博のジパング・エルドラド展のようにコロンビアに地域を限定していないので、何点かずついろいろな場所の産物を並べるというと、加工技術やデザインの違いが分かりやすかったりするのだった。むむ、コロンビアのはやはり相当に大雑把に素朴に作られてる方なんじゃなかろうか;
 そういうわけで、どこに金がはいってるのや、という鉱石から、エミー賞アカデミー賞の金トロフィーまで見てまわり、売店で金塊を模した装丁の図録を購入して帰ったのだった。売店には他にも色々と「金箔がちょっとだけ入ってます」とか「金色のパッケージだけど別に金入ってないです」な妙なグッズを販売していたが、意外なことに一番良く知られている金貨型のチョコレートはなかったようだった。
 ところで売店の宝飾品コーナーに、金を細い線に加工して透ける布状に織り上げる、という新技術によるアクセサリが置かれていた。あからさまに金を塊で使うよりも穏やかでエレガントなところは好印象だったものの、ああいう素材は曲げ伸ばしする内に金属疲労でボロボロになったりしないのだろうか、と心配にもなった。あるいは糸のように細くしたおかげで、そんな心配もないくらいの柔軟性を獲得するのだろうか。いや、金属疲労についてはそうだとしても、あれだけ表面積を広くしていたら、他の成分と反応して褪色するとか脆くなったり削れていったりとかいう危険は随分高まりそうだけども、そういう心配はないんだろか?;