大倉集古館にて「館蔵品展 紙で語る―Paper Materials」を見る

 ポスター/チラシを見て、百鬼夜行図が出ているらしいというので見に行ってみたのだった。
 で、百鬼夜行図は確かにあって、素朴だが愛らしい絵だったのだが、この展示の主体は特種製紙株式会社提供による奈良・平安・鎌倉時代あたりからの古い経文や古文書などらしかった。そういうものにも全く興味がないでもないが、絵画に比べるとかなり割り引かれる。まあ金箔張りや紺地に金文字とか、13世紀あたりに伝わってすぐに木版印刷に代わられた活字印刷とか、技術工芸的な面で面白い物はあったんだけども。
 あでも、江戸時代の物だそうだけど、「絵入源氏物語かるた」なんてのがあって面白かったですな。源氏香の52組の記号を数字代わりに、源氏物語54巻(序巻と終巻は源氏香の対応がないの)に当たる絵柄をかるたにしてあるの。あれ、良い紙と刷りでレプリカ版作ってミュージアムグッズとして売り出したら、それなりに売れるんじゃないかな、と思ったり。絵も彩りが華やかで綺麗だったし、適当な遊び方の説明をつけるとかすれば。まあ眺めてるだけでも愉しそうな感じではあるけど。
 あと、大津絵が何点か出てたのが楽しかったですな。江戸時代に土産物として売り出されたという民族画なんだそうで、良くも悪くもかなり大雑把に描かれて表装された掛け軸様の絵なんだけども、今で言えばヒトコマ漫画ポスターのようなものか。魔除けとか願い事祈願の護符だったりもしたというけども、まあ日常的に眺めて楽しい物を描いたんでしょうね。「猫と鼠」とか「外法の梯子剃り」(福禄寿が頭を剃られてるのね)なんかがありましたが。
 ところで、この大倉集古館は初めて来たのだが、建物と常設展示の彫像などに圧倒されたことであった。あれを私財で建てて集めていようとは。中国明代とかあたりの石仏とか浮き彫りのある礎石とか、よくこんなもの買い集めて持って帰れましたね、とそら恐ろしい気もするのだった。まあ、戦前のことだろうけどね……;
 ともあれ建物や常設展示はかなり面白いので、また何か興味をひかれる展示があれば見に来ることであろう。