五反田ゆうぽうとホールにて松本幸四郎特別公演 松竹大歌舞伎を見る

eplusに寄せられた松本幸四郎氏のコメント

 たまたま安売りチケットが入手できたもので。行ってみると、S席だけども2階席。まあ割引だったから贅沢は言わんけども。ただ、1階席の舞台間近なところでも意外に空席がありましたな。人気のない役者や演目とも思えないんだけど、何か売り方を間違っただろうか。花道がないのを舞台下手の端にそれらしき通路設けて演じるなど、元々歌舞伎向けじゃない会場だからかな?
 演目は以下の二幕。

 一幕目の『引窓』には幸四郎は出ず、しかし染五郎が南与兵衛改め南十次兵衛を、市川高麗蔵が女房お早、坂東亀三郎が濡髪長五郎をやっておりました。
 ――て、私はこの演目知らなかったんですけどね。いや、人情ものだし、他の場面では濡髪が四人も殺したというのも事情が明かされるんだろなとは思ったけども、郷代官として地域の詮議(調査取り締まり、か)をする役目の人間が情に流されて殺人容疑者の逃亡に手を貸しちゃっていいんかい、「人相書きを売ってくれ」なんてのは(継母だから情のためではあろうけど)金による癒着じゃあるまいかー、とか、折角自首する気になってる濡髪にわざわざ逃亡をそそのかすなよ、余計泥沼じゃないよー、などとじたじたしながら見たことであった。
 いやまあ、そういうのは歌舞伎の人情もののお約束なんだけども。
 『勧進帳』は良く知られた話でもあり、流石に幸四郎の所作で愉しく見られましたけどね。物語とか台詞よりも、あれは役者の動作や舞や、大編成のお囃子方を愉しむものになってるんじゃないかな。特に後半。
 ということで、多少は歌舞伎も見慣れて来た感じはするのだけども、やはり役者さんに近いところで見てみたいという気がしてきましたな。とはいえ、そういう席は格段に高いので。安い券が出ている時をねらってまたいくつか見てみてから考えるか、というところではあります。予習もしといた方が愉しいでしょうしな。