東京都美術館にてフェルメール展 「光の天才画家とデルフトの巨匠たち」 を見る

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 台風だったからちょっとはましかしら、と思ったけどもやっぱり混んでいた。混んでいたけど見た。物見高いんで。見られる内に見るのだ。
 まあ、ほとんどの観客はまず入り口付近の絵をつぶさに眺めてしまうんで、地下一階の「デルフト派」の作品をすっ飛ばして一階に上がって、フェルメールの7点を先に見たのだった。かなり空いてましたよ、一階。しばらく待っていれば正面一番前に立って、しばらくじっと眺め回すくらいは許される程度には。流石に全く人がいなくなることはないけど、人が切れて数メートル離れたところから全体像を眺め回せる瞬間もあるくらいには。後は、意志の力で周囲の他の観客の存在を脳内消去できるかどうかによるかと。
 七枚見てから地下一階に戻ってみると、ぎちぎちなんですわ。何しに来たんだあんたら、て感じ。――いや、他の画家の作品も色々面白かったですけどね。
 要するに、十七世紀あたりのオランダあたりの風俗画や風景画の業界では、フェルメールに限らず、遠近法や採光をいじり回して画面構成に何か目新しいことを盛り込む、ということが流行ったみたいですな。色々と変わったことは試されているんだけれども、その中で一番評価されてるのがフェルメールということでしょう。
 ちなみに今回、出品予定されていたうちのウィーン美術史美術館所蔵「絵画芸術」はオーストリア文化財保護局より「保存状態悪化の不安があるので出せません」てお断りが来たんだそうで出ていません。が、替わりににと言うかアイルランド・ナショナル・ギャラリーから「手紙を書く夫人と召使い」が来ていて、これはかなりいいですよ。御婦人の白い頭巾のコントラストが映えますな。
 フェルメールは過去に来日した2枚くらいしか見てないんで、どんなもんだろうと思って見に行った訳だけども、「小路」を見たときにちょっと妙なことがありましたな。私には時々、描かれている図そのものとは全く関係なく、突然美術品に強く叙情を刺激される――有り体に言えば泣きそう――ということがあって、「小路」の前でもそれが来たんですな。しかし、更に妙なことには、一度入り口に戻って二回目に、偶々空いていたのでもう一編「小路」の前に立ってみたら、全然なんですわ。あっさりしたものです。替わりに、「なんだか色んなモノがひょっ、と出てきそうな窓やら壁……」なんてことを考えたりする。まあ、それはそれで面白いのだけど。
 一体あれは何だったのだ、と余計に自分の美的感覚が分からなくなることでしたよ。まあ、こういうことは、色々見て磨いてみなきゃわからんものかも、と思い、貪欲に見に行ってる訳ですが。
 残りの二階の展示(フェルメール全作品実物大複製コーナーと、フェルメール後のデルフト派やその周辺の画家の作品)を流して、出展作品とデルフトの建物・風景などを紹介した短編ビデオも一通り見て、売店を流し見るも結局図録だけ買って(フェルメールグッズはともかく、デルフト焼きの食器やアクセサリなんてのも面白そうでしたが、価格に見合うのかどうかちょっと分からなかったんでパス)流石に疲れたのでレストランでパフェ何ぞ食してから帰ったことであった。
 ところで都美術館のレストランの「ごまパフェ」は、ごまアイスの下が小倉あんと黒蜜が混じったクリームに白玉が入ってるんですぜ。中身は胡麻じゃないじゃん、と呆然としましたよ。まあ、美味しかったからいいけど。