ホテルオークラ東京にて「第14回 秘蔵の名品 アートコレクション展」を見る

 ホテルオークラで年1回くらい行っているチャリティイベントで、大倉集古館の所蔵品などから良い物が出されたりするので見に行ったのである。そういや一昨年にも見に来たことがある。
 今回のテーマは「パリのエスプリ・京の雅・江戸の粋」とかで、実体としては印象派絵画、琳派とその周辺、北斎・広重あたりの浮世絵、という大雑把に3つの区分になっているようだった。目玉としてはクロード・モネカミーユ夫人」とアサヒビール所蔵の「睡蓮」(赤紫色の。これ前にモネ展で見たかな)、若冲の「旭日松鶴図」と例によって鶏、酒井抱一五節句図」、それに近代に来て竹内栖鳳「虎之図」屏風(三の丸尚蔵館所蔵なんである)などがあり、最後に広重の「五十三次名所図絵」と北斎の版画が結構まとまった数で展示されていた。印象派ではモネが一番多かったようだが、ほかにドービニー、ルノアールユトリロシスレーなんかも1点あるいは数点ずつのみ出ていた。
 若冲の派手派手しい鶏が見られただけでも収穫かな、などと思っていたが、竹内栖鳳の虎を見たらこれがなんとも、綺麗で可愛らしいこと。どっかで見たようだ、と考えてすぐに気付いたが、栖鳳と言う方は山種美術館の目玉「斑猫」が知られる画家さんなんでした。なるほど猫好きなんじゃないか〜、と納得の描きっぷり。
 いや、ほんとに「わあい〜、ごっつい猫!」と言いたくなるような容貌なんだってば。猛々しさとか強さよりもしなやかさが際立つ、毛皮が柔らかそうに見えるタッチで。ところで虎萌え絵といやあ思い出すのは応挙だけど、案の定この方も四条円山派の流れを汲むそうな。ただし時代が下っていて、欧州にも旅行したことがあるとのことなので、応挙や芦雪とは違いおそらく虎も実物を見て描いていると思しい。顔つきや手先(足先、だが;)の感じはかなり違うの。
 やあ、こんなものいくらでも眺めていたくなっちゃうぞ、と思ったが、そのせいかどうか、危うく、最後の方に北斎や広重があるのに気付かないまま閉館時間になっちゃうところだったのだった; ああ気が付いてよかった;;
 折角だからと300円で薄い冊子の図録を購入するが、これには全展示作品が掲載されてるわけではないのだった。せめてもの埋め合わせに、と絵はがきを何枚か購入するが、栖鳳の虎の絵はがきはないようだった。これも全点を商品化したのではないらしい。むう、売れると思うのに。
 そんなわけで、閉館時間いっぱいまで粘り、売店もかなり長いことうろうろしてから出てきたら、外は激しい雨になっていたのだった。お陰で電車も遅れてたりするし; まあいい加減、東京の夏の気候なんてこんなもんだ、という腹を括りつつあるのだが。
 しかし、後で知ったのだが、実は美術展に長居したお陰で、電車が止まっていた時間帯をやり過ごしていたらしいのだった。何が幸いするかわからん。