国立能楽堂にて「萬狂言 ファミリー狂言会 夏公演」

 ファミリー狂言会、と銘打ってあるだけに、お子さま方にも分かりやすいようお笑いコンビ・エネルギーの噛み砕いた解説もつけ、演目もおそらく多少短くして(か、短い物を選んでか)、お子さま方にも飽きないようにしてあるものと思しい。
 しかし能楽堂での催しでもあり、狂言自体はちゃんとやる割にチケットが廉価なので、折角だしと出掛けてみたのだった。
 演目は、「雷」と「茸」。「雷」の方は以前「京極夏彦作妖怪狂言」で見ているのだが、雷の装束は派手だし、動作が大仰で分かりやすいですな。舞台での動作はあんまり針治療をしてるようには見えんのだが、雷相手だからいいのか。
 で、「茸」の方は初めて見たのだが、狂言にしては珍しく、出演者がやたらと多いのですな。しかも子役も交えて。舞台一杯に装束をつけた「茸」達がうごうごする図というのはなかなか壮観でありました。山伏のお題目が良く聞くとすごくインチキ臭いあたりも。で、何の救いもなく終わる辺りも。(シュールだ。)
 まあちょいと周りのお子さま方が騒がしくはあったけども、楽しい催しでございました。
 あと、最後に「狂言ラップ」なるものを歌って終わったのだけども、あれは要らなかったんじゃないかなあ。いや、やるならラッパーの方々にももっと弾けてほしかったね、と。子供達を引っ張り込むくらい。しかし、「狂言ラップ」の後半に、舞台に野村家の方々が(子役を交えて)登場して一緒に拍子を取ったもので、やるな、と感心したことであった。野村扇丞と、野村祐丞翁まで出てきて満面の笑みで(あれは狂言のスタイルかなあ)全身で拍子を取ってるんである。あれは、ラッパー氏らよりもよほどエンターティナーだと思いましたね。さすが。