紀伊國屋画廊にて第27回エコール・ド・シモン人形展を見る
マイミク氏の日記に書かれているのを見て、どれや、と雨の中新宿紀伊國屋本店まで出掛けていく。四谷シモン氏の主催による創作人形教室エコール・ド・シモンの作品展である。
さすがに全体にレベルは高く、既に造形作家として活躍している方々らしいのだが。しかし全体的に、印象としては似通ったものが多かったですな。整った、ちょっと冷たい感じのする少女の、ちょっとエロスを感じさせる半裸のお人形、というのが一番多いですよ。でなければもうちょっと成熟した大人の女性のお人形。おそらく、吉田良などの人形作品や、金子國義、宇野亜喜良あたりの絵の影響を受けてるんじゃないかと思うのだけど。そのあたりはきっと、一番ファンも多いのでしょうな。で、そういう似た印象の間に別のイメージの作品(三頭身の、アニメか絵本にありそうなキャラクター、とか、ヒトをモチーフにしていないもの、変形の著しいもの)が入ると、より一層目立ったりして。
ところで。後になってふと思ったのだが、こうした方面のお人形って、現在取りざたされている児童ポルノ法の改正案にある「準児童ポルノ」違法化の議論としてはどうなんだろうか?
私だって、幼児や少年少女がセクシュアルな商品にされることには歯止めが欲しいと思うけども、「少年に見える」ポルノ的な作品が全て、となると対象が広すぎる。おそらくエコール・ド・シモン展に出されているような球体関節人形作品の世界には、「準児童ポルノ」に該当しかねないものが山のようにあるだろう。
人形作品はポルノではない、という反論もきっとあるだろうけど、しかしこうした人形作品が全くエロスを意図してないかというと。全く意図してないとかいうのは不自然だし、かと言って、それを違法とされるのも何かおかしい気がする。
実際、こういうものまで「準児童ポルノ」として単純所持まで禁じられることになったら、どんなことになっちゃうんでしょうなあ。私だってベルメールの人形写真集くらい持ってるし。――いや、あれは体型は成人女性と思しいからいいのか? 体毛がなくて三つ折りソックスを履いてる下半身だから少女なのか? どうなんだろう??;
なんというか、「準児童ポルノ」まで禁止と言い出した側も、少年少女の「ちょっとエロティックな」絵画・造形作品を制作・出版・販売してる側も、こんなに広い領域で問題に直面するとは思ってなかったんじゃないでしょうかね。
正直言って私は、「準児童ポルノ」なんて括り自体、現実に法的な線引きをするのは無理じゃないかと思うのですが。どうにも一括りには扱えない広大で混沌とした世界に、お気軽に投網を掛けようとしちゃったんじゃないかと。
まだ消費者(てのもなんですが、作品のファンのことね)やアーティスト・製造販売側からの反論が始まったばかりだけど、おそろしく複雑な問題だって事は、これからいやでも突きつけられてくるんじゃないですかね。
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