国立新美術館にて「フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展」

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 「牛乳を注ぐ女」は「ミルクメイド」だったのか! なんてえ驚きはさておき、これは見に行くつもりだったので、連休の空いた時間にさくさく行って来た。フェルメールはとりあえず見とけ、ということで。
 フェルメール1点の他に何が来るのか、他はほとんどが説明パネルと解説映像だったりしないか、などという心配もしていたのだが、他のオランダ風俗画もなかなかよかったですよ。油絵だけじゃなくってエングレーヴィングやメゾチントなんかも多かったですが、これもなかなか精緻なもので。小さいデッサンでは何点かレンブラントも来ておりましたな。何気なく見てきたけども、オランダではもしかしたら国宝・重文クラスなんではなかろうか。
 更に楽しかったのは、絵画だけじゃなくて当時の風俗として、陶磁器や銀器、ガラス器、彩色タイルの展示もあったこと。色ガラスの飾りのついたグラスなどが思いの外良かったですな。それから、オウムガイを加工して銀細工の飾りを施した杯なんてものもあって、まことに美麗だったのだった。
 それと、美術工芸品としての価値は劣るのかも知れないが、フェルメールの作品にも登場する、ということで、古楽器を並べた部屋が設置されていて大変に楽しかった。リュートヴィオラ・ダ・ガンバヴィオラ・ダモーレ、ハーディーガーディー、ヴァージナルに、大きなキタローネ(鬼太郎ね、ではない。テオルボとも呼ばれるリュートの親分みたいなやつ)まであった。
 たくさんの楽器に、これはこれは良い物をみせてもらった、図録にこれも写真やリストが出ているかしら、と思って買って帰ったのに、図録には全然楽器についての記載がないのだった。展示の方の独自の展開だったのだろうか。むう;
 そういうわけなので、古楽器・弦楽器に興味をお持ちの方は、折角だから見に行くと良いと思いますよ。ちなみにこの楽器展示スペースの奥の一画は、「牛乳を注ぐ女」の背景が再現されているのだった。一般客は入れないところだが。
 帰る前にショップもちょっと覗いたが、「ミルクメイド」グッズが大量に溢れている脇に多少のその他展示品グッズ、オランダ名産品の類が置かれている、という構成だったので、他の物は買わずに帰った。展示品の中にハブリエル・メツー作の通称「猫の朝食」という絵があって、とても心惹かれたのだが、それはグッズにはなっていなかったのだ。そういや展示作品には、犬猫他けものが描かれてる絵も多かったですな……生活感ってこういうことか。