新宿ロフトプラスワン「眼鏡茶屋」に行く

 ワールドコンにも開店するカフェ・サイファイティークで先行イベントとして紹介されていたので、眼鏡男子萌えの友人と出掛けていく。私は眼鏡には特異的嗜好はないのだけど、何につけ馬鹿馬鹿しくも真摯な拘りというやつは、端で見ていても微笑ましく心楽しいものだ。(要するに無責任に物見高いのだ、ええ。)
 しかしやはりこういうニッチなサブカル文化はちゃんと話を聞いてみないとわからなかったことがいろいろあるなあ、と、感心することしきり。まず、腐女子腐男子、眼鏡君サイト開設者、男色漫画家らのいずれも濃い面々でのトークで、「眼鏡男子」への熱い思いが語られる。永野のりこ氏がマッドサイエンティスト眼鏡男子を描き続けているのは基礎知識としても、永野氏の拘りの基盤がムスカにあったとはしらなんだ。ムスカは眼鏡をやられちゃったから死ぬことになったらしいですよ、ほろり。
 そして展開する眼鏡男萌え。「心に眼鏡を掛けていなければ駄目」「眼鏡は外界との間のバリヤー」「つるの部分を『マジックスティック』と呼ぶことを提唱」等等のこだわりの他、「池袋にメガネスーツカフェなるものができたので行ってみた」という情報/レポートも飛び出す。眼鏡男子萌えブーム(略してMDB)以前と以後について語り、確実に広まっているとの見解が示される。
 そして対象となる眼鏡男子も次々紹介された。先にも挙げた永野のりこ(「GOD SAVE THE すげこまくん!」はオンデマンド出版で復刊だそうです。一般書店での販売はなし。お求めの方はコミックパークから)、オノ・ナツメの描くところの眼鏡男、杉浦日向子著「閑中忙あり」(「東のエデン」収録)に登場する、明治時代の眼鏡の医学生(ただし紹介されたのはいずれも眼鏡を外しているカット)、ひょっこりひょうたん島の博士、メガネドラッグのモモちゃん(最近の絵はかわいらしく萌えキャラ風になっているが、以前はもっと三白眼で怖い感じだった。今も店頭にある人形はちょっと怖い。「メガネやめますか、それとも人間やめますか」て感じ――そも「メガネドラッグ」ってくらいだ;)、カーネル・サンダース幣原喜重郎東條英機小渕恵三(眼鏡で病弱なところがツボなんだそうな。病弱というか、激務だったんじゃ?;)、シューベルト(貧乏で、性病で死ぬ。彼の遺品の眼鏡は、今見るとおどろくほどちゃちな造りだそうだ)、ハインリヒ・ヒムラー(生前の写真と自殺直後の写真を示し、「死んでも眼鏡を外しませんでした」)、左門豊作(実はモノローグ多し。内面だだ漏れ。「まして片恋なんぞ」とか口に出して言っちゃう)、平野耕太著「HELLSING」は眼鏡率高し(ガスマスクまで含めて紹介。これを見ると眼鏡はサイボーグの第一歩という感じ)、小説のキャラクターだと篠田真由美著「建築探偵」桜井京介(でも眼鏡掛けてないんじゃ?;)や、古典としてエラリイ・クイーンの「鼻眼鏡」(鼻梁が低く眼窩の浅い黄色人種には無理らしい)等々。「ハーロックとトチローならどっち?」という問いも発せられる。眼鏡萌えなら当然トチローであるべきだそうな。
 間にぬるい博士コントを挟んで(ネタはともかく、テンポはかなり改良の余地有り。こめかみ部分に発光ダイオード仕込んだ眼鏡は良かったのですが)、カフェ・サイファティークの決起集会に移る。旧マッドサイエンティスト・カフェ、現カフェ・サイファティークは、「世界を理系にしてしまえ」「文系は強制収容所送りだ」を目的に掲げる悪の秘密結社だそうです。同じ眼鏡でも理系でなければ駄目だそうです。なぜカフェかというと、女性幹部たちが奉仕して貰える場を求めたけれども、ホストクラブは「バカそうで」やだったんだそうな。キャバクラに対するホストクラブのように、メイドカフェに対して、しかし賢い眼鏡男子に接待して貰える場所、だそうな。(すると執事喫茶はどうなのかが気になるところだけど)理系でなくては、というのは、眼鏡男子に求めるのが知性、論理的思考であるから、とのこと。
私見では、世の中には理系と謳ってても頭の悪い奴、論理的思考の出来ない奴はたくさんいますけどもね。
 これまで、2年前のSF大会HAMACON2を占拠し、米国ウィスコンシン州ワールドコンを占拠し(一室に30人ほどを閉じこめて、口を聞くな、と申し渡し、お茶をたてたんだそうな。米国人のしかもワールドコンにくるようなマニヤ達を黙らせとくなんてのはかなり大変なことなんだそうな)、中野から中央線沿いに新宿まで進出してきた、ということだそうな。
 で、今度のワールドコンでの出店は、パシフィコ横浜の2Fハーバーラウンジにて8/31-9/2の10:00-18:00, 入店料1000円を予定し、ここはワールドコン参加者でなくても入れるようにする、とのこと。今回も2回目以降はビーカー持っていけば割引とかかな。
 さて、この後、眼鏡男子にお茶をたてていただく権利をかけてのオークションがあったり、実際の茶席があったりしたのだが、私達はここらで退出。ただし、カフェ・サイファティーク決起集会後、幹部の尾山ノルマ氏にご挨拶して、我々の怪しい発酵食を食べる会のために、日中に食品や備品を置く場所をお借りできないかとお願いしたことを書いておこう。
#コインロッカーなどもあるはずですがね、当日の混み具合が良く分からないし。と、こちらもまだ準備食材・備品がどのくらいの量になるか、ちう問題もあるのですが。
 尾山氏は2001年幕張での第40回大会の折、id:oono_n氏がシュール缶を開けた際にその場に(遠巻きに)おいでで「開けた途端にばっ、と人が引いた」のをご覧になっていたそうです。
 まあ、あんな感じになるらしいです。多分ね。