今日も宴会

 小規模オフ会、というか、オフ会での面子によるこじんまりした宴会があって、某所にある韓国料理居酒屋へ出掛けていく。なぜそんなにまで連日宴会か、と思われるかも知れないが、ここは料理がうまいのだ。美味しく食べられる機会は逃さず出掛けておきたかったのだ。
 しかし事前に入れた買い物が思いの外時間を食い、乗り換えに手間取って、待ち合わせに遅れる。まあ今回の場合店は分かっているので、幹事に電話して先に行っていただき、急いで追いかける。幸いにして到着したとき、最初の鍋が煮えたところであった。やれやれ。
 この鍋というのはネギとアンコウと豆腐のみのあっさりしたものだったが、アンコウの肝を溶いてある上に、アラからも味が出るので大変味わい深いのだった。汁も具も期待に違わずうまいので、つい、ぷりぷりした皮をまとったアラを行儀悪くしゃぶりせせるのであった。うまうま。鍋と一緒に最初から鯖飯(といってもちらし寿司状に盛りつけられている)が出ていて、これもうまうま言いながら食べる。メニューにない秘蔵の日本酒(だよね?)をいただいて、モンゴウイカと葱の炒め物とか、オクラとイカと柴漬けのねばねばした和え物とかもうまうまいただく。
 いただきながらも話ははずむのだが、面子がマニヤックに偏っているので、話題もかなりディープな内容であった。ゲーム業界の開発裏話とか、同人業界やらコミケやらの話とか。安永航一郎はいいね、ちゃんと完結編が出版されないものか、とか、一昔前のゲーセンにあった大型筐体型のシューティングシミュレーションゲームはどうして消えたか、とか、今のプリクラの女子高生へのこの展開は、とか、ディズニーランドの施設・アトラクションとホテルのサービスが、とか。または、十数年前のSF小説等のラジオドラマとか深夜放送なんか今ポッドキャストで配信したりしないのかしら実はうちには音源があるけど、とか、それを言うなら他にも自宅や倉庫には映像・音楽・ゲームソフト・ハード等々の過去の遺産「ロストテクノロジー」が詰まっていて、等々、他にも色々と余所ではなかなか聞けないような話を聞く。そのコレクションなるものも、聞くだにマニヤ垂涎と思しい一大資産なのだった。(や、私もその筋をちゃんと分かっている訳じゃないのですが;)
 思うにいい年をしたディープなマニヤの一人一人には、その嗜好の方向に沿って一大コレクション(=混沌または腐海等と称される)が形成されていると思しい。だが、もし本人の身に一旦何事か変事があると(縁起でもないけども、死亡とか入院とか身動きが出来ないくらいの後遺症とか)残された家族にはその価値が分からないので、ただの場所塞ぎなガラクタとして処分されかねないのだった。その時のためにお互い、もし何かあったら価値の分かる人間を集めて整理にあたってもらうことにしよう、という話になる。とりあえず身の回りの「色々入ってるはずだけど詰まりすぎてて物が出せないコレクション」の整理を、分かる人間を集めてやってみようとか。
 ――なんて話をしつつ次々料理を口に運んでいたもので、つい、最後の締めにはサムゲタンが来るんだったという事を失念していたのだった。うわあん、お腹一杯にしちゃったよ! しかも、いずれもきれいで美味しそうな料理だったのに、全然写真を撮らなかったのだ!
 それでもそれなりにサムゲタンは食べるのだった。別腹と言うほど別腹にはならなかったけど; 仕上げにラーメン入れたのも美味しゅうございました。満腹だったんでちょっとしかつつけなかったけど。しかしあれだけたらふく食べてあの値段って、あの店は大丈夫なんすか;(それと個人的には、厨房で何かトラブルがあったらしくテンパってた様子の店員の兄さんが気になりましたが。客が増えてから大丈夫だったかなあ)
 とりあえず今日は、大人しくまったり飲み食いする集いということで、3時間ほどもゆっくりしていたので一次会のみで解散した。

 ところでこの後、駅の改札入ったところで同方向へ移動の青年と一緒になったのだが。「どこに住んでるんですか」とかにへにへしながら訊いてはいけないな、と思う。私はそういうことに関しては慎重になっているので、ごく大雑把にしか公開していないのだった。
 とだけ言って話を切るのも何なので、折角だから電車待ちの間に、私がそのように慎重になるに到った経験の話もしたのだが。君、そこは笑うとこじゃないから。
 まあ個人的な嗜好ということも多分にあるのだが。他人の現実の不幸や深刻な事態についての話を、へらへらしながら話す/聞く人間を、私は基本的に信用しない。