些細な傷害

 通勤途中、地下鉄駅の出口を出掛けたあたりで、何やら掌に痛みが。
 ありゃ、何かにひっかけて切っちゃったか、などと思いながらも、周りの人を避けるのに忙しく、慌ただしく歩きながら、何気なく見てみると。
 見覚えのない黒子が。
 ええと、てのひらのこんなとこに黒子なかったよな。つか僅かにだけど、ここだけ痛いし。よく見るとちょっと掠れ入ってるし、周りがなんとなく赤く腫れてるし。
 畜生っ! 誰ぞ歩きタバコの火の粉を飛ばしやがったなああ!!!
 腸が煮えくりかえるも、どこで誰から飛んできたのか全然分からないのだった。ぐるぐるぐる。
 しかしてのひらだけで済んでまだましだったのかも。着てたコートは化繊のキルティングなので、下手したらでろでろ溶けてみっともなく穴が開いてましたがな。
 私はタバコはやらないけど、そこそこ分煙してくれればそう目くじら立てて排斥することはなかろうと思ってるし、喫煙者の吸えない苦痛は分からないでもないんだけども。しかしだからって、人混みでぶつかりそうな中を歩きながらもひっきりなしに吸うこたないだろうに。締まりのない。おしゃぶりの離せない子供かっ!
 今度歩きタバコを見つけたら、取り上げて根性焼きしたろか、と煮えたぎる怒りを堪える今日この頃なのだった。大人だからしないけどよ。