東京国立近代美術館工芸館にて「漆芸界の巨匠 人間国宝 松田権六の世界」を見る

 蒔絵なんかの細かい細工物は楽しいね、というので行ってみたのだった。地味な展示の割には結構人が入っていて盛況であった。客層は比較的年輩の方が多かったかな。
 入り口でチケットを求めたら、本館の常設展のチケットも付いてきたのだが、当日限りの券なのに、入った時刻は既に夕方近く――どうしろと?; 工芸館を回るには充分だけども、本館まで回るほどの時間を見ていなかったのだった;
 そういやこれまで工芸館には何度か来たけど、本館はずっと工事中だったのだった。そっかー、開くようになるとこういうこともあるわけ; ちょっと惜しいことを。
 さてこの松田権六という方は、重要無形文化財保持者、人間国宝なわけだが、東京美術学校で後継指導に当たったり、また国会議事堂の内装(休憩室の大扉など)を手がけたり、平泉の中尊寺金色堂の修復に関わったりした方なんだそうで。細工の腕もさることながら、展示品はなかなかにモダンで楽しげなデザインになっているのだった。漆に螺鈿、各種金属を象嵌したといいながら、驚くほどカラフルだったりするのだった。
 きっと伝統的な日本画とか、いろんなところからデザインを導入しているんだろな、とは思うけれども、やはりこれはセンスの問題かねえ、などと考えさせられる。結構年輩になってからの作品でも、鳥や虫のあしらい方とか、茶目っけを感じるものがあるし。
 最後の方にはこの方の弟子筋の名匠や、現代での注目の名工達の作品が並べられていたのだが、この蒔絵という分野はほぼ加賀蒔絵の流れの人々で占められてるんでしょうかね。出身地が軒並み石川県だ。
 さて本館の展示は諦めて、代わりにカフェでお茶だけして移動。このカフェも、なかなか広くて綺麗でよかったんだけれども、内装のアバンギャルドな写真展示にちょっと首をひねる。いや楽しいんだけどさ、メニューのエレガンスと比べると、どういうコンセプトの店なんだろうかという気もするのよ;