太田記念美術館にて特別展  初公開 ギメ東洋美術館所蔵 浮世絵名品展

 北斎やら色々里帰り展示しているというので見に行ったら、いつもは静かな原宿裏通りの小さな美術館前には行列ができていた。少し前にNHKで特集番組をやったとかだそうな。
 場所柄、何の行列か、と覗いていく人もいたようだけども、絵に興味のないひとが並ぶのは辛いと思うのよ。実際に並んでたのは2,30分かそこらだと思うんだけども。冬にしては暖かい日だったとはいえ、美術館前は日陰だったもので。
 この美術館、普段は入り口で靴を履き替えて上がるところなんだけども、あまりに人が詰めかけたせいで、「土足のままでお上がり下さい」ということになっていた。でも、呼び物の北斎「龍虎図」(だったということがこのほど100年ぶりに分かったそうな)他数点の肉筆画を展示してある部分は、ガラスの手前まで畳に靴を脱いで上がる造りになっていたもので、私は上がって畳に膝付いて眺め回したりしたのだった。靴脱ぐのはあきらめて畳の端から眺める人も多く、畳前で他の絵への行列がいったん崩れるような形であった。実際、ちょっと近くにも寄ってしげしげ見たくなる絵ではあるんだけどね。
 この「龍虎図」は二枚一対とは言っても、虎の方は子猫のようにころころむちむちして若々しくマンガっぽい(ほれ、江戸時代の絵師にとっては虎も実物を見ないで描いてる想像上の生き物ですから)のに対し、龍は蛇か骨かの寓意のような枯れて暗い迫力に満ちていて、表装を見ず別々に見たら一対とは気が付かないかもしれないくらい印象が違うのだった。並べてみると、それも対象なんだろうと思うけどね。地上と空、稚気と老獪、生気と妖気、と言うか。
 勿論他にも色々展示作品はあったのだけども、この北斎の肉筆画のインパクトにはなかなか及ばないような。他は大半が版画だったせいかな。中には、前に北斎展で見た作品などもあったのだけども、褪色が激しいのに驚いたりした。まあ年数を考えれば、無理もないのだけど。当時の絵の具としては、青は割と鮮やかなままに残るのに比べ、赤系統の色は褪色が激しいようなので、牡丹やら花の絵などは厳しいことになっているのだった。
 さて、中でも行列に並びつつ二階の展示室もゆっくり堪能してから(ま、そこそこ時間はかかりましたがな;)売店で図版と、猫絵の小マグネット、和犬の絵本形手ぬぐい(ここには同じメーカーの絵本手ぬぐいが各種出ていたが、実は秋に田舎で買った猫絵の手ぬぐいと同じ所のものだったらしい)等購入して出る。今日はこれだけしか買わなかったが、地下に併設の手ぬぐい等和物の店「かまわぬ」は美術館に入館しなくても入れるので、また覗きに来ようと思うのだった。
 さらにかここには、大通りからの曲がり角が無印良品だという罠が。セーブするも菓子とか菓子とか買ってしまう。
 その後渋谷へ出て、軽く夕食などして帰宅。本当は余力があればBunkamuraティアラ展も見ようと思っていたのだが、実際にはそんな余力もなし。美術館観覧というのは意外に気力体力を消耗するのだった。――って、他に体力の要りそうなことをしてないせいかなー;