江戸東京博物館にて ボストン美術館所蔵 肉筆浮世絵展「江戸の誘惑」を見る

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 なかなか、との評判を聞いて慌てて見に行ってきたのだった。北斎あたりの絵はこの前の北斎展などでも散々見たはずだけども、浮世絵というのは以外に肉筆画の数が少ないので、これはかなり希有な見物なのだった。
 これが。いやほんとになかなか。ビゲローコレクションの肉筆浮世絵700点のうちの80点ということだから特に選りすぐりではあるんでしょうが。へー、北斎にもこんなエレガントなものが、とか、歌麿や鈴木春信まであったんかい、とか、よくこんなものが残ってたなあと感心することしきり。また一方では、こんなこんなお宝を百何十年もただ死蔵しとったんかいボストンの唐変木ぐぁっ、しまっとくだけなら日本のどこかの博物館にくれよう! と思ったり。
 とはいえ、ただずっとしまっといたからこの保存状態で維持できた、のかもしれないし。恐らく日本の美術関係者にはぎりぎりと歯噛みしてる方々もおいでなのでしょうけども、1世紀もの時間が経っていることでもあり、何とも言われんですね。
 さて、江戸東京博物館の企画展だから大した点数ではなかろう、とたか括ってたら、ふと隙間から見た先の順路に、こんな文字が。
 鳥山石燕百鬼夜行図巻」
 どーしてそういうものがあるって先に言ってくれないのよーっ!!(チェックが落ちていただけです。そういやどっかで聞いた気もするわ;)
 と、慌てて足を速め――ると、手前にある絵も面白く、いい加減に流し見るのもそれはそれで勿体ないので、じりじりしながら進む。
 石燕の「百鬼夜行図巻」は、画図百鬼夜行や続百鬼に収録の妖怪をピックアップして、肉筆彩色画の巻物として描いた物で、構図とかはほぼ原典と同じですな。いいなあ、あれ複製絵巻をミュージアムグッズとして売らんかな、と思いながらじりじり見たことでありました。しかし、後で図録を見たら、一番始めの方に猫股が描かれていたらしいのに、展示では巻き込まれていて見えなかったのだった。きいっ、猫股見せてよっ!
 一通り堪能して図録も買って、ついでに浮世絵に毒されたか、つい派手派手しい柄の風呂敷(てーか大判ハンカチサイズ)など購入して帰途についたことでありました。
 ところで会場にあった北斎の「龍虎」および「龍蛇」の描かれた提灯は、見事なんだがああいうものを実際に使ってみようと言う酔狂な方はおられたんでしょうかね。暗がりで子供が見たりしたらひきつけ起こしそうですけども。