「ヨーロッパ絵画の400年 ウィーン美術アカデミー名品展」を見る

 損保ジャパン東郷青児美術館にて。金曜夜は8時まで開いているので助かるね。
 このウィーン美術アカデミーのコレクションというのは、「女帝マリア・テレジアに仕えたランベルク伯爵(1740~1822)から遺贈された740点の絵画が基礎となっている」んだそうで、ルネサンス期から近代ロマン派とかウィーン分離派(要するにアール・ヌーヴォーの流れのウィーン現地形態、だったはず)あたりまでの作品がほぼ年代順に並べられている。
 ポスターやチケットに使われているのはレンブラントの「若い女性の肖像」だけどもレンブラントやその周辺の時代だけを扱ったものでもなし。(この絵、確かに綺麗なんだけども展覧会全体の中からしたら地味なんだよねえ。レンブラントだから選んだんだと思うんだけど、ウィーンという土地柄や華やかさで紹介するならすばらしく豪奢な女帝マリア・テレジア像なんてのもあったのだが)
 損保ジャパン美術館の規模からしたらそう大きくはない展示会だろうと踏んでいたのだけど、意外に点数が多くて驚いたことだった。中盤までゆっくり見てたら閉館まであと15分、とか言う時間になっちゃって慌てる。ひー;
 一番多かったのは肖像画や聖人説話、神話上の場面などの人物像だったのだが、静物画では時代の流行だったのか、楽器や地球儀、金細工、猿や犬(既にかなり交配に凝りまくった猟犬とおぼしい)などの動物と言った、当時の富裕層でなければ所有できなくて持ってる事を誇っただろう品物を並べた絵がいくつかあって楽しい。描き止められたヴンダーカマーか。動物や狩りの獲物などを描いた絵も何点かあって、灰色の猫数頭が野生むき出しの表情でにらみ合ってる絵がよろしかった。積み上げられた狩りの獲物らしき鳥の屍の山のあっちとこっちでいたずらしてる2頭の猫、なんてのもあったし。(いやその、ついチェックしてしまうんだな獣の絵は。)
 しかし色々見られて楽しくはあったけども、展覧会全体としてとりとめがないという感じもしないでもなし。ウィーン美術アカデミー側か、あるいはそれ以前のランベルク伯かの意識として、何か絵を集める際のコンセプトとか、ぜひにも観覧者に示したいこだわりとかいったものはなかったのだろうか。強いて言えばウィーンからの視点で集められてる、ということかもしれないけど、ムリリョとかユベール・ロベールなんてのも混じってたし、ねえ。
 一通りみてからちょっとだけミュ−ジアムショップを覗き、図版は今回はいいか、というところで何も買わずに帰る。本当は猫の絵の絵はがきがあったら欲しいなと思っていたのだが、この展覧会の絵はがき自体あんまり数がなかったようだった。東郷青児の絵はがきはあれだけ数を出してるのに……ま、そんなもんであろうか;

 ちなみに、他にこの展示内容についての紹介ページとして以下のようなとこもある。ご参考までに。