転ける。

 通勤途中の路上にて。靴がすっぽ抜け、そのせいでつんのめるように転んだのだった。
 掌と右膝を擦りむくも、運動機能には問題なし。ま、ちょっと流血したかな。
 私は時々こういうことをやらかす。2年に一遍くらいだろうか。
 転んだこと自体はいいとして。転んだ直後、通りすがりの女性が親切にも「大丈夫ですか?」と声をかけてくれたのだが、実は私はそれがとても怖かった
 いや、恐怖というほどじゃないんだけども、ひどく不安でいやな感じがしたのだった。立ち上がるまで、「大丈夫です」と答えても「大丈夫ですか?」と言い続ける声とか、それがなんとなく嬉しそうだったこととか、腕に貼り付いた掌のぺたぺたした感触とか。(注:腕を取って助け起こそうとしていた。体は起こしてたんだけど、歩道に座っていたから)
 勿論、先方が親切でしてくれてることに疑いはないけども。どうもこの手の親切は居心地が悪いのだった。
 ひねくれすぎてるかねえ。あるいは、情緒不安定から来る疑心暗鬼とか。