朝から渋滞

 首都圏一円の鉄道網のどっかで事故やら故障やらが起こり、多少の遅延やら振り替え輸送やらが、というのは実は珍しくない。
 んだけれども、上りも下りも満員の電車がつぎつぎやってきて、しかしそのホームやら階段やら通路やらには不慣れな振替輸送の乗客も混じった普段の数倍の人間が詰まっている、という状況はなかなかあるもんじゃない。
 多少の遅れは仕方ないけども、みっちり人が詰まって身動きがとれなくなったホームに10分近くも何のアナウンスもなしってのは不手際じゃなかろうか。「○○駅での故障のため××線に遅れが」なんてことは、乗り換えようにも一歩も動けない状態で知らされても何の役にも立たないんであって。そうこうしてるうちにも次の電車が入ってきて一群の乗客達がホームに降りようと苦心したりしてるんであって。人々が黄色い線の内側になんかおさまりきらない押し合いへしあいな状態でも、電車は出て行くのだった。あの中で何人か倒れてても何も不思議ではないぞ。現に途中で隣に立ってた女性なんか、口元抑えてふらふらしていた。
 実に、車両1両分の距離を移動して階段に至るまでに10分ちょっと掛かったのだった。そしてようやく乗り換え口に至ると駅員が立って無言で紙切れを配っていたが、それは振替乗車券だったのだった。いや振替で来てる人よりも、絶対毎日このルートで乗ってる人の方が多いって。そういう人々には遅延証明のが要るんだから、何配ってるかくらいアナウンスしろよと。
 で、乗り換えてみると私鉄は嘘のように空いていて、通常通りのダイヤで電車も来たのだった。先の方で少し影響が出てきて遅れたようだけども。
 しかし、あんな渋滞に置かれながら怒号も乱闘もないというのは、日本の都市生活者ってほんとにお行儀いいよなと。その方がまだしもストレスを増やさず迅速に目的地に着けるというのが身に付いているせいだろうけど。